第782話初体験の普通
「しよって・・・え、何をだ?」
「言わせるの?そーくんのえっち〜」
えっ・・・ち?
本当に何を言ってるんだ。
いくら初音がそう言うことを俺としたいと考えているからといって今まではここまで情緒が不安定だったわけではない。
「な、なぁ、本当にどうしたんだ?」
「もう〜照れなくても大丈夫なんだよー?そーくんが私に口で言えないからって物で示してくれたんでしょ〜?」
「物・・・?」
なんだ・・・?ポーチにはそんな隠語のようなものがあるのか?
「待ってくれ、本当に何を言っているのか意味が分かってないんだ」
「そーくんにしては演技上手いね、これだよ」
初音はさっきのポーチを取り出した。
「さっきのポーチ・・・?」
やはりそのポーチが何か関係しているのか。
「の中に入ってたこれだよ、そーくんもキザなことするようになったね〜」
そう言うと初音はどこかで見覚えのある丸型のものを取り出した。
「それは・・・」
そうだ、ラブホテルの時だ。
ラブホテルの時に見た・・・避妊具だ。
・・・ん?
「な、なんでそのポーチの中にそんなものが入ってるんだ!?」
「いいよ、そーくんにしては演技頑張ったけど、もう実物もあるんだから、そう言うことだよね」
「ま、待て、違う」
それで不機嫌だった初音の機嫌がいきなり良くなったのか・・・でも本当になんでそんなものが入ってるんだ?
まさか元々そんなものが入ってるわけもないしな。
「違うって言われてもなぁ、じゃあこれのことどう説明するの?」
「いや・・・わからない」
「まぁ仮に無意識に入れちゃってたとしてもそれがそーくんの本音ってことなんだよ」
そもそもそんなものを持ち歩いている覚えはない。
俺も最近疑うことを覚えて一瞬初音の自作自演を疑ったがそうでもなさそうだ。
そうなってくると残る可能性は・・・
「小姫さんなのか・・・?」
「何か言った?」
「あっ、な、なんでもない!」
危ない・・・せっかく機嫌を良くしてくれたのに初音以外の女性の名前を出したら確実にさっき以上に機嫌が悪くなってしまう。
気をつけよう。
ただ後で小姫さんに確認しないといけないな。
「まぁいいや・・・どっちみちそろそろするのが普通なんだよ」
「・・・え?」
「ほら、そーくんってよく普通はって言うのを引き合いに出すでしょ?だから私普通を調べてみたの」
すると初音はネットの検索結果を見せてきた。
検索したのは『初体験 付き合って何ヶ月』というワードらしい。
その下には・・・
「さ、三ヶ月!?」
高校生なら平均三ヶ月、早い人は一ヶ月と書かれている。
・・・冗談だろ?
世の高校生たちは人生2周目なのか・・・?
「それが普通なの、そーくんがおかしいんだよ」
「そ、そうなのか?」
「うん、だから一年前の私なんて本当辛かったんだよ?そーくんそういうことにあんまり詳しくなさそうだったからいっそのこと襲おうと思ったけどもしかしたらそーくんの方から何かしてくれるかもって去年の12月まで待ってたらそーくんが別れるなんて言い出してさ、だから後悔しないために私はもう遠慮しないことにしたの」
そんなバックボーンがあったのか。
確かに初音と再会してから積極的に性的な交渉をしてくるなとは思ったが、そういうことだったのか。
「でも─────」
「怖くないから!・・・シよ?」
「・・・・・・」
ここまで言われると、前向きに検討する他無い、か。
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