第779話総明の魅力?

 小姫さんは一つため息を入れてまた口を開く。


「年上のお姉さんとして真面目に君の客観的な情報、君の魅力教えてあげよっか?」


「は、はい!」


 さっき小姫さんのことはお姉さんとは思っていないと間接的に言ってしまったからか、少し根に持っているいるようだ。

 別にそういうつもりで言ったわけではなかったが・・・


「まず身長は170後半くらいだよね?」


「ま、まぁ一応・・・」


「それでいて君は細身なの」


「は、はぁ」


 細身というと一見プラスな言葉に聞こえるかもしれないがただただ今まで運動という運動をしてこなかったからこうなっただけである。


「で、次に顔は私には100年経っても釣り合わないけどまぁそこそこなの」


 100年という大きいスケールの話をされてからの比喩表現だとそのそこそこというのがどの程度なのかイマイチわからない・・・


「つまり、君は高身長で細くて顔はそこそこで、一番いたずらしがいがありそうな感じなの、ついでに言動もなよなよしてるし」


「いやなよなよはしてないですよ!」


「さっき慌ててたのにどの口でそんなこと言えるの?」


「ぐっ・・・」


 小姫さんにまともに論を破壊される日が来るとは・・・


「はぁ、だから君はあの子たちにバイトをするなって言われるんだよ」


「え・・・?」


「君がなよなよしてて、かつそういうののターゲットにされそうな面持ちしてるから、バイトなんてさせたら何されるかわからないって不安なんじゃない?」


「・・・つまり?」


「君がなよなよしなくなったら認めてくれると思うよ」


 さらっと小姫さんは俺に大きな希望をくれた。

 小姫さんからすれば小さくでも、俺からすれば大きな希望だ。

 つまり俺がこのバイトに慣れてさっきのように慌てることもなく、女性に対して隙を見せることもなくなれば、こそこそ初音に隠れてバイトをしなくても良いというわけだ。


「わかりました!小姫さん、ありがとうございます!」


「・・・ふんっ」


 小姫さんは仕事に戻って行った。

 ・・・今日は本当に大きな収穫があった、これで俺がちゃんとできるということを初音に見せればもしかすると初音の根本にある考え方も変わるかもしれない。


「そうだ!」


 俺は今まで初音を変えようとしていたが、俺自身の女性に対する接し方を変えれば初音だってきっとあんな風にはならないはずだ。


「よし!」


 俺はようやくするべきことが見えた。

 あとはこのようやく見えた道を進み、初音に告げるだけだ、そうすればきっと初音とも純粋な恋人になれる、初音の感情は元はプラスなものなんだ。

 その第一歩としてこのバイト・・・全力で成し遂げる。

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