第773話バイト探し改
その後月愛と入れ替わる形であゆが帰ってきて、なぜ先に帰ったのかということを存分に怒られまくった。
ただでさえこっちは色々あって疲れてるのにこの仕打ち・・・この世界は俺に対しての慈悲というものを完全に忘れてしまっているらしい。
そして俺は今一時的に自分の部屋に一人。
最近一人になれる時間なんて滅多にないからな、こういう貴重な時間に考えるべきことを考えなければならない。
「・・・バイトだ」
この前は間違えてレンタル彼女なんていうのに応募してしまったが、あの時は本当にバイトをする決心を固めていたんだ、今からでもバイトを始めてみても遅くはないだろう。
・・・だが俺一人で選ぶとろくにならないだろうということを今までの人生経験で学習済みだ。
だからここは頼れる先輩を頼らせてもらおう。
「小姫さん、ちょっと今いいですか?」
「・・・何」
そう、小姫さんだ。
小姫さんなら初音や霧響のように俺に働くななんて言う筈が無いしあんなバイトのサイトを使ってたぐらいだ、少なくとも俺よりはバイトに詳しいだろう。
「これ初音たちには内緒にして欲しいんですけど、実はバイトを始めようと思うんです」
「へぇ、まさかそんな報告するためだけに話しかけてきたの?うざ」
小姫さんの暴言に関してはもう受け流すしかない。
「そうじゃなくて、どのバイトがおすすめかとか、先輩である小姫さんにご教授いただければな〜と思って」
「無理」
「えっ・・・」
断られることも一応考えたがここまで即答されるとは思えなかった。
「なんで私がそんな面倒なことしないといけないわけ?」
「いや、その・・・小姫さんしか頼れる人がいなかったので」
「っ・・・!」
小姫さんぐらいしか俺の周りでバイトしてる人なんていない、仕事っていう面で言えば一応天銀が当てはまるかもしれないが絶対に俺とは縁の無い世界の話しか知らないだろう。
となると小姫さんが頼みの綱・・・だったが。
「でもダメなら仕方ないですし、なんとか一人で探してみます、ありがとうございました」
「待って」
俺がこの場を去ろうとしたところで、小姫さんに声をかけられる。
「な、なんですか?」
「・・・ダメとは言ってないでしょ、バカなの?」
「・・・はい?」
「だから!ダメとは言ってないでしょって」
さっき思いっきり「無理」と即答されたのをこんな短時間で忘れられるわけがない。
「言ってましたよ!?」
「無理とは言ったけどダメなんて一言も言ってないでしょ!」
「それ意味変わらないじゃないですか!」
「ふ、ふ〜ん、じゃあ君は別に私が教えなくても良いんだ?」
「そ、そう言うわけじゃ・・・」
一気に小姫さんの方が優勢になった・・・やはり侮れない。
「だったら頼み込む態度っていうものがあるんじゃないの?」
くっ・・・これも俺の自立のためだ。
「・・・お願いします」
「そうじゃなくて・・・いつも言ってるよね?」
・・・ん?
・・・あ、まさか。
「いいから早く教えてくれ」
「はいぃぃぃ!」
ということでバイトの選び方のコツやどれがおすすめかなども俺にできそうなもので徹底的に教えてくれた。
・・・他に言うことは何も無い。
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