第771話月愛の訪問
「結構高いところに住んで居るのね」
「え、あ、まぁ・・・」
改めて初音には感謝しないといけない。
「上がらせてもらうわ」
月愛は靴を脱いで家に上がった。
「・・・え、ちょっといいか?」
「何かしら」
「俺の部屋とかも見るのか・・・?」
「いえ、あなたも年頃なんだからそんな野暮なことはしないわ、少しリビングと生活背景を見せてもらうだけよ」
そうか・・・それなら大丈夫か。
俺と初音も靴を脱ぎ、廊下を歩く。
「はぁ・・・本当に引っ越しを早く考えないと、こんなに他のメスの匂いがする家に住んでたらそーくんが汚れちゃう」
初音がいつも通りよくわからないことを言っている。
「何を言っているのあなた・・・」
それに慣れていない月愛はかなり引いている。
「何って?」
「・・・なんでもないわ」
月愛は素早く初音の性格を理解したらしい。
学校でもおかしな言動や行動はしていたが家の中でまでこんな・・・むしろまさか家の中での方がやばいとは思っていなかっただろう。
「ここがリビン・・・グ?」
月愛はリビングを見て何か驚いている様子だ。
そんなに変だろうか・・・?
なんなら初音の財力を使っているから普通の家よりも少し綺麗だと思ってるけど。
「あっ!そーちゃん!」
「お兄様!」
「・・・・・・」
リビングには結愛と霧響と小姫さんが居るようだ。
「ちょっとどこ行ってたの?心配したんだから!」
「本当ですよ!誘拐でもされたらどうするつもりだったんですか!」
「なんで俺が誘拐なんてされるんだ!」
はぁ・・・月愛もいるんだからもう少し自重して欲しいものだ。
「・・・お兄様、そちらの女性は?」
そもそも気づいてなかったのか。
視野が広いのか狭いのかよくわからないな。
「クラスメイトだ」
「クラスメイト・・・はっ、まさかお兄様!また女性のことをたぶらかしてしまったんですか!!」
「ち、違──────」
「私が最王子くんにたぶらかされる訳がないでしょう?心外よ」
月愛はバッサリと言う。
少々複雑な気持ちではあるが今はその言い方がものすごく助かる。
「そ、そうなんですか・・・?」
「そうよ」
霧響も月愛に毒気を抜かれたようだ。
・・・ん?月愛はもしかするとこの常識外な人たちに対する対抗策になってくれるのではないだろうか。
「今日はただちょっとした生活背景を見に来ただけだから」
「生活背景・・・?どのようなことをお教えすればよろしいのでしょうか?」
「そうね、SHR終わりに言われたことは、最王子くんのご飯と普段の簡単なルーティン・・・だったからしら」
「わかりました、ではキッチンにご案内します」
霧響は思っていたよりも上機嫌にキッチンへと向かった。
すれ違いざま月愛に呟かれる。
「妹さんはまともなのね」
月愛は霧響の後を追うようにしてキッチンに入った。
・・・まともだったらどれだけ良かったことか!!
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