第767話2人の呼び出し
俺と月愛は七海先生に呼び出されたので呼び出された場所に来ていた。
「なんで呼び出されたか、わかる?」
「いえ、わかりません」
呼び出されたのは生徒指導室。
品行方正な月愛がここに呼ばれる理由はそう簡単には思いつかない。
「最王子くんは?」
「ありまくります」
俺に関しては学校を休んでいたり二股を生徒の中で公認されていたりと思い当たりが多すぎて逆になぜ呼び出されたのかがわからないほどだ。
「ふふっ、そうだよねー」
先生は笑う。
・・・俺にはその笑みが怖い。
「彼はともかく、何故私が呼び出されたのでしょうか?」
その言い方だと俺がものすごい問題児みたいな・・・まぁ行動だけ見れば全く間違えてはないんだが。
「黒宮さんの疑問はごもっともだね〜、でもね、これは黒宮さんにしか頼めないことだからお願いしたくてね〜」
どうやら先生は月愛に何かお願いがあるらしい。
でもそれならなんで俺と一緒に呼んだんだ・・・?
月愛にだけお願いがあるなら俺とは別々で呼べば良かったと思うんだが。
「で、そのお願いの内容なんだけど、単刀直入に言うと、黒宮さんには最王子くんの生活背景をちょっと見て来て欲しいの」
「は・・・え!?」
「・・・なぜ私なんでしょうか?」
「だって最王子くんの友達はことごとくみんなお休みなんだもん、仕方ないよね〜」
それは確かにそうなんだが・・・
「ま、待ってください!なんで生活背景なんて知る必要があるんですか!」
「先生として生徒の安否を確認する義務があるの」
「安否って・・・今こうして会って話して安否は確認できてるじゃないですか!」
「そうだけど、最王子くんがお家でどんな風に生活してるかとかも知っておいたほうが今後のためかなって」
「そ、それはやりすぎなんじゃ・・・?」
「一ヶ月以上休んでて白雪さんと一緒に住んでるみたいだから家主の白雪さんに色々聞いても惚気話しかしないんだもん、仕方ないよね」
初音・・・そんなことしてたのか。
ていうか学校の先生から電話がかかってきて惚気話ができる精神力は改めて異常なほどに強いな、どうなってるんだ。
「っていうことだから、黒宮さんさへ良ければ、最王子くんの家庭訪問に行って欲しいの」
「・・・先生は行かないんですか?」
「私はちょっと色々用事があって・・・ね!お願い!」
なんか家庭訪問する方向で話が進んでいるが・・・
「お、俺の確認は取らないんですか?」
「ん〜、最王子くんが休んでた時に溜まってた課題を今日中に終わらせてもらうとかにしても良いんだけどなぁ、もしできなかったら単位落と──────」
「い、いつでも!ウェ、ウェルカムですよ!」
「よかったぁ」
この先生・・・やっぱりどことなく小悪魔みを感じる。
「・・・あなたがなんで女難になるのか今少し垣間見えた気がするわね」
「うっ・・・」
こういうのが押しに弱いってことなのか・・・?
でもあんなこと言われたら仮に初音だったとしても俺と同じ対応を・・・って、初音なら課題くらい一日で仕上げられるか。
「じゃあそういうことだから、今日の放課後はよろしくね〜」
「・・・分かりました」
・・・はぁ、気が進まないにもほどが───────
`プルルルル`
「・・・電話?こんな時間に誰から───────」
『初音』
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