第766話あゆの憂鬱
「今日の授業はここまでです」
つまらない授業をしていた先生がようやく授業の終わりを告げた。
私はさっきと同じようにすぐこんな退屈なところよりも先輩に会いに行こうと席を立った・・・けど。
「早乙女さん!」
早乙女、私の苗字・・・
いきなり女子クラスメイトから話しかけられた。
「何?」
話したことがない子・・・クラスでは一応成績が良くて私のこの見た目だからカーストなんてものが存在するならかなり高い方の位置にいる。
それは久々に登校した今日でも変わってなかった。
ま、私は先輩以外興味ないから別にどうでも良いんだけど。
「久しぶりの登校だよね・・・!何かあったの?」
なんで私が話したこともない人に心配されないといけないんだろ。
「別に〜?何も」
こんなの無視して早く先輩のところ行きたいけどここで無視して変な噂立てられてもそれはそれで面倒だし・・・
「・・・早乙女さんって、二股されてるんだよね?」
「うん」
「・・・別れたほうがいいよ!クラスのみんなも早乙女さんが恋愛絡みで何かあってずっと休んでたんじゃないかって心配してたよ!」
大してクラスの人と踏み込むほど仲良くしてないのにそんな心配されてたんだ・・・それはそれとして。
「別れるわけないじゃん」
「なんで?二股されてるんだよ?」
・・・はぁ、話しても無駄なんだろうなぁ。
私がもう時間を費やしたくないと判断して歩みを進めようとした時、私の耳に障ることを言ってきた。
「騙されてるよ・・・!最王子先輩って言ったら学校にいる時いつも色んな女の人隣に置いてるし!」
「・・・はぁ?」
私が先輩に騙されてる・・・?
私が先輩を騙すことがあっても先輩が私のことなんて騙せるわけないし、もうちょっと考えて発言できないのかな。
っていうかそもそも騙すような人でもないし。
珍しいなぁ、先輩って割と女子会とかで密かに良い意味で名前が上がったりするタイプなのに、こんな悪印象持ってる子もいるんだ。
・・・まぁ、それはそれとして。
「先輩のこと悪く言わないでもらっていい?」
「あっ・・・」
私は目で殺す勢いで言った。
「あ、ご、ごめんね・・・!」
・・・はぁ。
別に周りになんて言われてもどうでも良いって思ってたけど、あんな優しい先輩がそんな風に思われてるのはちょっとやだなぁ。
・・・そうだ。
「せっかくだし後で連れてきてあげる、そうしたらそんな汚い発想なんて生まれないと思うから」
「え・・・?う、うん」
「って〜!もうこんな時間!?」
これじゃ先輩に会いにいけない。
「・・・はぁ」
この数分で何回ため息ついたんだろ、私。
後で先輩をここにどう連れてくるかを考えながら、1人席に着いた。
「会いたいなぁ」
私はどうせ後ですぐ会えるけど、それでも今すぐに会いたいと心の底から願っていた。
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