第764話常識人の盾
なんで突如そんなことを言われないといけないんだ。
「はぁ・・・全く、あなた、占いの世界では女難の相なんて言葉があるけれどあなたはそれを体現したかのような人間なのね」
「え?そんなこと・・・」
あるか・・・というか俺が女難でなければどこからが女難ということになるのか是非問いただしてみたいところだ。
「で、あなたを先輩と呼んでいる彼女はあなたの友人かしら?」
「ま─────」
「友人じゃなくて、彼女なんですぅ〜」
「彼女・・・?あぁ、あなたが彼と二股していると噂の一年生なのね」
「はいっ♪」
あぁ・・・改めて聞くと最悪な噂だ。
しかも二股しているのに咎められるどころか二股が公認される学校ってなんなんだ・・・本当にどうかしている。
「あなた・・・初めてその噂を聞いた時は正直少し引いたわよ」
「ち、違うんだ、これには色々事情と言うかなんというかがあって・・・」
「事情っていうかぁ、先輩が私の涙に負けちゃった感じですよね〜」
「うっ」
「涙なんてもので二股なんてするなんて・・・私は恋愛になんてあまり興味は無いけれど、やっぱりあなたって色々と弱いわよね」
「よわっ・・・!?」
・・・今までちょろいとか単純とか色々言われてきたがそれを総称された気がする、しかも常識人な月愛に。
これは言い逃れようがない。
「そうなんですよ〜、先輩ってばちょろいから私が彼女になってあげたんですよ〜」
「なんで俺が望んだ形みたいになってるんだ!」
「え、今の聞きましたぁ?望んでも無いのに二股してるなんてどう思いますかぁ?」
「最低ね」
「このっ・・・」
そんな誘導のされ方をすると何も言えない・・・しかも月愛なんて本当に俺の周りには珍しいにも程がある本当の常識人だ。
・・・まずい、もしかするとメンタル的な面だけで言うのであればで今までで一番ダメージを負っているかもしれない。
「ですよね〜、もう〜付き合う前ならいくらでもアプローチしてくれても良いんですけど付き合ってるなら一筋でお願いしますぅ〜」
おそらく俺があと少し短気だったら軽くつねっているかもしれない。
「そうね、百歩譲って交際していないのなら複数人にアプローチしようが勝手だけれどもう交際相手が居るのに二股をするなんて、ハッキリ言って下衆ね」
しかも常識人からと言う一番最悪の追撃・・・
「いや・・・はい」
もはやなんの抵抗もできるわけがなかった。
これがオーバーキルというやつだ。
「ですですぅ!」
そして常識人を盾にして都合よく俺のことを攻撃しているあゆに関しては後で少し色々とお話ししないといけないかもしれない。
「で、あなたはそんな下衆のどこが好きになったの?」
「げ、下衆呼びやめてくれないか?」
「冗談よ」
声が冗談に聞こえないから本当にやめていただきたい。
「えぇ〜、色々ありますけど〜やっぱり赤ちゃんみたいなところじゃないですかね〜」
・・・は?
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