第745話歓喜の結愛と霧響
「って言うことがあっ──────」
「そうなのっ!?やったねっ!!」
「・・・え?」
俺の今の心情とは全く真逆の答えが帰って来たことに、俺はかなり困惑させらえれていた。
なんで喜びの声が返ってくるんだ?警察沙汰だって言ってるのに・・・
「これでようやく私とそーちゃんの恋路を邪魔する虫が消えるんだねっ!」
「つまり今お兄様は恋人が居ない状態ということになるんですね」
「ちょ、ちょっと待て、俺と初音は物理的に離れることになるだけで別にまだ別れたわけじゃ・・・」
「え?そーくんは犯罪者と今後の人生を一緒にしたいの?」
「は、犯罪者・・・?」
何を言っているんだ・・・?
「だってあの虫は警察に連れて行かれたんでしょ?で、証拠的にもお互いがお互いを刺したみたいになるなら多分二人とも未成年だから成人してる人よりはマシな処遇になるにしても、世間的にも犯罪者っていう扱いになるんだよ」
犯罪者・・・
なんだか、初音のことをそんな風に言われるのは嫌な気持ちになった。
もちろんやっていることはそう言われてしまっても仕方ないことだが、それをも全て俺に対する愛からきていると考えると・・・どうしてもそんな無碍に扱ったりはしたくない。
「・・・・・・」
「まぁそーちゃんは優しいからすぐには受け入れられないかもだけど、大丈夫・・・!これからは私がそーちゃんの恋人としてそーちゃんを───────」
「待ってください、私がお兄様の正妻としてお兄様に寄り添います」
「きーちゃん?何言ってるの?そーちゃんだってきーちゃんと私だったらきっと私との方が恋人になりたいって言うよ?ね、そーちゃん?」
「えっ、ま、まぁ・・・」
「ほらっ!」
「照れないでくださいお兄様!」
俺が異常なのか・・・?
不中だったとは言え一緒に暮らしてた人が警察沙汰になったって言うのになんでこの二人はこんなにもマイペースなんだ・・・?
・・・そうだ。
「天銀は、どう思うんだ?」
俺はこの中でかなりの常識人な天銀に助けを求めるように声を掛ける。
「・・・・・・」
「・・・天銀?」
天銀はかなり深く考え事をしている様子だった。
「す、すみません・・・今までのことを考えればどれも警察の方々にお世話になってもおかしくは無いのですが、いざ本当にそうなったと考えると少し考えることがありまして黙っていました」
よかった・・・天銀は普通だ。
「そうか・・・あ、天銀的にはこれはどのくらいの処置になると思うんだ?」
ここはやはり本職の人に聞いておくのが一番だろう。
「そうですね・・・法律に関しては僕の専門というわけでは無いのですが、少なくともナイフでお互いを刺しあったという構図なのであれば、殺人未遂罪に適用され最低でも懲役5年以上はあると思います」
「懲役5年・・・!?」
ということはこれから5年間は初音とあゆに会えないのか・・・長すぎる。
「やったぁぁぁっ!!じゃあこれからはようやく私とそーちゃん2人の愛を育む出番なんだねっ!」
「・・・・・・」
初音ともう5年間会えない。
今まで離れられるものなら離れたいと思っていたがなんだか・・・俺の中で、燻りが感じられた。
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