第742話二人は本気
待て・・・え?
この証拠だけ見れば確かに初音があゆのことを刺したように思われてしまうのか・・・?
「・・・・・・」
いやいやいや、今の警察さんの科学力はもっとすごいんじゃないのか・・・と思ったが、元はと言えば初音があゆを本当に殺してしまおうとしてたのも事実。
ぐっ・・・複雑な気持ちだ。
初音はどうするつもりなんだ?
「そんな子供騙しで私のことを脅せると思ってるの?」
「・・・え?」
「警察なんて呼ぶ前に殺しておいて、特殊清掃員でも呼んで死体ごと掃除して貰えば証拠なんてなくなるよ」
「えっ、ちょっ・・・」
なんでもう殺すことが前提みたいになってるんだ・・・!
「ま、待てってあゆも初音も、け、警察とか殺すとか、じょ、冗談だろ?」
「「本気」」
そんなところだけなんで息ぴったりなんだよ・・・
「そーくんこそ何驚いてるの?私今までずっと言ってたよね?そーくんの周りの女は殺すって」
「い、言ってたけど・・・」
もちろん今までも何度も殺し合いを繰り広げているのを見てきてはいるが実際にこんなにも流血した状態を見たことは無いため、それがさらに現実味を帯びてしまっている。
「今までは殺そうとしても長引いて、他の奴らに邪魔されてそーくんとの時間を奪われたく無いから避けてきたけど、幸いこいつは自分で自分のことを刺して弱体化させてるんだから、今が狙い目でしょ?」
「え、で、でも・・・」
「ようやく邪魔者を一人消せるチャンスなんだから、そーくんまで邪魔しないでよ、これからこうやって全員消していって、もうそーくんに付き纏う女が増えないように私とそーくんはずっと一緒だからね」
全員って・・・冗談だろ?
本気で殺す気なのか・・・今まででもわかってたけど改めて実感するとやっぱりどうかしている、何か感覚が俺と違うとしか思えない。
「あー、でも霧響ちゃんは私の妹になるかもだし残してあげてもいいかなぁ」
「・・・それでいいんですかぁ?」
「・・・何?」
「別に今私のこと殺してもいいですけど、後悔しますよ〜?」
「何それ」
あゆは体の状態とは裏腹にかなり強気なようだ。
何か初音の殺意を削ぐようなことを言うつもりなのか・・・?
でも・・・そんなことできるのか?
「私のことを今殺したら、白雪先輩は一生私に負けたままですよ」
「だから、そんな安い挑発に乗る訳ないって」
初音はあゆが地面に置いたナイフを拾った。
「じゃあね、来世ではせいぜい虫にでも転生して私とそーくんの微笑ましいところを無い指を加えてみてなよ」
そう言いながら初音はナイフをあゆの胸に突き刺そうとするが・・・
「先輩のことで私に負けてるんですよ?」
「・・・は?」
初音はそのあゆの言葉に引っかかりを覚えたのか、ナイフを突き刺すのを一瞬止めた。
「どう言うこと?」
「さっき先輩のことを気持ちよくしてあげたって話はしたと思いますけど、その時先輩がぽろっと言ってたんですよ」
何か変なことを言ったか・・・?
「白雪先輩より上手だ・・・って❤︎」
・・・は?
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