第739話不審者侵入?

「何の音だ!?」


「きゃぁ〜、ベランダから聞こえましたぁ〜、怖いです〜、不審者だったらどうしよ〜、あゆ怖〜い」


 1ミリも怖がっていなそうなことから俺があゆのことをフォローする必要は一切なさそうだ。

 ・・・というか俺が怖い。

 家のベランダに猫が入ってきた物音だけでその1日中全く集中できずベッドにこもってたのにそんな俺がベランダから物音、しかもここは20階以上のマンションで動物が入ってくるなんてことは絶対にあり得ない。

 つまり・・・ 


「ほ、本当に不審者なんじゃ・・・?」


 確かにちょっと冷静に考えてみればここは俺なんかが住まうことができるような所じゃない、高級住宅だ。

 もし強盗とかが入ってくるならここが選ばれたとしても、何の不思議も無いと言えば何の不思議も無い。


「せんぱぁ〜い!こわっ・・・怖いですぅ〜!」


 ずっと俺の足元に嘘が見え見えの演技をしてるあゆを引き剥がそう。


「あゆ!離れっ、ろ!」


 俺は少し力を込めてあゆのことを引き剥がすことに成功した。


「え〜、女の子が泣いて縋ってきたらそこは・・・これで拭けよ、とかって言ってハンカチを出すところじゃないですかぁ!」


「少女漫画の見過ぎだろ!」


`カンッ``カンッ`


「ひっ・・・」


 まずい・・・・本当にいよいよ何かしら手を考えないといけない。

 一応ベランダはすぐそこでカーテンがかかっているだけでもしこのカーテンをめくってしまったらその不審者と対面することに──────


`ジャララララ`


「・・・え?」


 目に日差しが刺さったかと思いきや、あゆがカーテンを開いていた。


「あ、あゆ!な、何してるんだ!?」


「先輩焦ったいんですも〜ん」


「だからって──────」


「それよりほら、不審者さん、居ますよ?」


「え」


 俺は恐る恐る首をベランダの方に向けた。

 ・・・が。


「・・・え?は、初音?」


 初音が真剣な表情で口を開いて何かを喋っているようだが何も聞こえない。

 ・・・え?あ。


「不審者って白雪先輩だって見たいですね〜」


「なんでそんなに落ち着いてっ・・・って!まさか最初からわかってたんじゃないだろうな!」


「なんのことですかぁ?」


「っ・・・!」


 いや、やめよう、あゆに怒ったって絶対に時間の無駄だ。

 それより・・・


「どうして初音がここに・・・?」


 確か約束では1日交代交代みたいな話だったはず・・・


「ん〜、なんででしょうかぁ〜、まぁ全部私の計画のうちですから、先輩はそこで適当に眺めといてくださいよ〜」


 そう言うとあゆはベランダの鍵を開けベランダを開いた。


「・・・え!?おい!」

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