第729話今日の計画

「な、なんだそれ・・・?」


「婚約印です」


「婚約印!?」


 なんでそんなものをあゆが持ってるんだ・・・?


「これがあれば先輩の意思とは無関係に結婚できちゃうってことです!」


 っていうか前にもこんなことがあったな、あれはあゆじゃなかったが・・・なんで俺の婚約印はそんなにも量産さてるんだ。


「なぁ〜んて、これは最終兵器ですけど〜」


 あゆは婚約印なるものを自分のポケットに閉まった。

 ・・・そんな素振りを見せられても俺の頭の片隅にはそれがチラついてしまう、それを狙ってるのか?


「何が目的なんだ・・・?」


「何がって・・・そんなの決まってるじゃ無いですかぁ」


 あゆは今までの笑顔を一気に剥がすようにして言う。


「先輩の初めてですよ」


「・・・・・・・」


 昨日あゆに俺とあゆが初めてあった時の話をされたが、それでもなぜそんなに俺とそう言うことがしたいのかは全く分からない。


「この同棲中に、私と絶対に初めてを迎えちゃってもらいますからねっ!」


 そんなところでテンションを上げられても困る。


「そのための部屋だってあるんですよ!」


「部屋・・・?」


「ここですっ!」


 あゆに連れられてやってきた部屋の中に入ってみると・・・


「うわっ」


 なんだこの匂い・・・結構前に嗅いだ覚えるのある頭がぼーっとする感じの匂いだ。

 しかもベッドも前に初音と行ったホテルのところよりも高そうな見た目をしている。


「これは先輩とえっちするためだけの部屋です!」


「はぁ・・・」


 よくそれだけのためにこんな高そうなものをずらずらと並べられたものだ。


「2度と使われることが無い部屋ってことだな」


「何言ってるんですかぁ、今日使うんですよ〜?」


「こんな部屋使わない!」


「まぁ今はそう思ってれば良いんじゃないですかぁ?」


 そう言うとあゆは「一回出てってください!」と言って俺のことを部屋から追い出し、自分も部屋の外に出てきた。


「とりあえず最初は私という女の有用性について先輩に見せつけてあげます!それが今日の計画なのです!」


「有用性と、計画・・・?」


「そうです!まず私には先輩を追いかけていたと言う実績があります!」


「それがなんの実績になるんだ?」


「先輩がどれだけダメな人間になってもずっと一緒にいてあげるっていう覚悟の表れになってますよね!」


「そんなのを覚悟って言うな!」


「えへへ〜、でも私が先輩のことを好きなのはほんとですよ〜?」


「うっ」


 こうも真っ直ぐに好きだと伝えられるとどうしても少し照れてしまう。


「あっ!照れた!今先輩照れました〜!?」


「て、照れてない!」


「照れてるかどうかなんて先輩のそこを見ればわかっちゃうんですから!」


 と言ってあゆは俺の下半身の方に顔を向けた。


「って、ここじゃ分からなかったですね〜♪」


「っ!」


 本当に下品なやつだ・・・


「ささっ、先輩、この部屋に入ってください」


 あゆに連れられまた部屋の前にやってきた。


「な、なんだこの部屋・・・?」


 ドアの配色が他のドアとは違うため少し違和感を覚える。


「まぁまぁ、とにかく入っちゃってください〜?」


 そう言ってあゆは俺のことをその部屋に押し入れた。


「で、この部屋はな──────」


`ガシャンッ`


「・・・え?」

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