第728話個別同棲生活1日目
悲痛のジャンケン大会が終わった翌朝・・・
「きゃはぁ〜!さぁさぁ早く早く〜!」
「ちょっ、おい・・・!」
俺はあゆは言われなくても、あゆの家に入るしか無い状況なのに、俺のことを無理やり入れに連れ込む形であゆの家に入れた。
とうとう一日ずつ変わる同棲生活の始まりだ。
・・・普通にやってることが最低なのに、これをやろうと言い出したのは俺からではなく相手からというのがさらに奇妙さを増している。
「ここが私の家ですよ〜!」
あゆの家は俺と初音の家と同じ建物で、階層が違うだけで真上にある。
前にも一回確か連れてこられたことがあるが、前はほとんど軟禁状態だったため全然周囲のことを見るなんてことはできなかった。
「・・・全然違うんだな」
同じ建物なだけに、材質等は全く同じだが、部屋のドアの場所や壁の隔たりがある場所が俺たちの家とは全然違う。
「そうなんですよ〜、私ここで一人暮らしなんですけどね〜」
「ひ、一人暮らし!?」
「そうですよ〜?ってゆか一人暮らしじゃなかったら先輩を軟禁することなんてできないですよ〜♪」
そんなことを笑顔で語られる俺の身にもなってみろ、最悪だ。
「それにしても先輩も罪な人ですね〜、1日1日取っ替え引っ替えなんて〜」
「い、言い方を自重してくれ・・・」
俺だってしたくてしてるわけじゃない、なんならそっちから無理やりこんなことにしてきたんだろ・・・
「先輩!時間は有限です!1日しか無いんですから!私との同棲のメリットを軽くお伝えします!」
「メリット・・・?」
「1つ!私と同棲したら、毎日私が朝起こします!」
「・・・あぁ」
正直それはアラーム機能で解決する。
「2つ!朝先輩は色々と忙しいと思うので、そのお手伝いをします!」
忙しい・・・?
「教科書とかまとめるのを手伝ってくれるってことか?」
「それもありますけど、主に性処理──────」
「いらない!」
「えぇ・・・」
あゆはドン引きとでも言いたげな表情をしている。
・・・その表情をしたい、というかするのは絶対に俺の方な気がしないでもない。
「3つ!私が料理を作ってあげます!」
それはまぁ割とありがたい。
「4つ!私がマッサージしてあげます!」
「マッサージ・・・?」
「はい!こう見えても私マッサージのお勉強してたりするんです!」
マッサージか・・・マッサージは一生無くならないなんてテレビで聞いたりするけど、最近疲れることも多いし、マッサージも割と嬉しいかもしれない。
「マッサージして間違えて手が当たって・・・えへっ♪」
その独り言のせいでそのマッサージがかなり良く無いものに感じられてきた。
「そして5つ目!これが大本命です!」
「だ、大本命・・・」
「私が先輩と結婚してあげちゃいます!!」
「・・・は?」
・・・ん。
「・・・え?先輩って結婚盲信者じゃないんですかぁ?」
「そんなわけないだろ!」
「え、だって先輩の周りの人みんな先輩と結婚したがってるじゃないですかぁ?」
「そんなこと俺に言われたって俺は知らない!」
「あぁ〜、言われてみればそうですね〜♪」
「このっ・・・」
絶対分かってて言ってるだろ・・・
「でっ!先輩!私と結婚してくれる気になりましたかっ!」
「なるわけないだろ!」
「そうですかぁ、困ったなぁ〜、でも私、絶対に先輩に言うことを聞かせる方法を知ってるんですよ〜」
「な、何・・・?」
「それはですね〜・・・じゃじゃ〜ん!」
そう言ってあゆが取り出したのは、ハンコの容器のようなものだった。
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