第727話同棲の順番

 と言うことで。

 俺にとっては急すぎる流れだが、他のみんなにとってはアクセルを踏めば車が進むことぐらいに当たり前のことらしく。

 綺麗な川の流れのように話が進んで行く。


「ってなると、次はどの順番でそーちゃんと同棲するかだけど」


「・・・そーくんが他の女と同棲なんて、死に殺したいぐらい嫌だけど、まぁこれも私とそーくんの未来永劫のための犠牲、今は身を斬る思いで我慢しないとだよね」


 そんなことを我慢してくれるのであればもっと他のところを主に我慢して欲しいものだ。

 特に俺の人間関係と浮気関連のことについて。


「はいは〜い!私が先輩と一番最初に同棲しま〜す!」


 あゆがそう言うと、全員が全員下をむいて何かを考え始めた。

 ・・・もうこの俺だけが置いて行かれている感覚には大分慣れたつもりだがこうも露骨に置いて行かれているような感じになると悲しくなってきたな。


「私が一番最初で良いですかぁ?」


「・・・うん」


「良いよ」


「はい」


 他のみんなもその意見に特に反対する意思は無いらしい。

 ・・・っていうか同棲って、え?

 なんかスムーズに話が進んでるせいですっかり忘れてたけど、同棲ってもしかして・・・それぞれの家に行ってするのか?

 ・・・ん?


「やったぁ〜!じゃあ2番目誰が良いですかぁ?」


「・・・・・・」


 沈黙。


「あれれ〜?因みにみんな何番目が良いんですかぁ?」


「「「「「最後」」」」」


 満場一致である。


「は?私が最後なんだけど」


「私だって」


「私です!」


「私」


 何でこんなにも最後が人気なんだ・・・?


「あれ、皆さん、何をしているんですか?」


「ん〜?私だけ勝ち上がっちゃったんですけどみんな戦争してるみたいです〜」


「せ、戦争・・・!?」


 天銀が争いが起きているリビングに自ら入ってきた。

 もうさっきの俺とのことは吹っ切れてくれたのだろうか。


「あっ・・・」


 と思ったが、顔を少し赤くして目を逸らされてしまった。

 どうやらまだ恥ずかしさが拭いきれないらしい。

 ・・・初音たちのせいで感覚が鈍ってたけど、そうだ、あれが普通の反応だ。

 本当に天銀はこの中ではしっかりと普通で、俺に常識を思い出させてくれる。


「もう〜!お話長いですよ〜!じゃあもうじゃんけんで決めちゃいましょう!」


「じゃんけん・・・!?だ、だめです!これがどれほど重要なお話かわかってるんですか!?」


 え、これってそんなに重要な話だったのか・・・?


「だってそうしないと永遠にお話終わりそうに無いじゃ無いですかぁ〜」


「・・・わかった」


「うん」


「まぁ、そーくんに愛されてる私なら・・・」


「は〜い、私が合図しま〜す、じゃ〜んけ〜ん──────」

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