第725話涙目の原因
俺がリビングに行くと、もう泣いてはいなかったけど明らかに涙目になっている小姫さんと、その周りをぐるぐると回っているあゆの姿があった。
「小姫先輩が泣いてる〜!」
「泣いてないし」
「あっ!せんぱ〜い!もう〜、相手が年上だからってやって良いことと悪いことがあるんですよ〜?」
「いや!なんで俺が何かしたみたいな感じになってるんだ、俺は何も──────」
`ギロッ`
「うっ・・・」
小姫さんがただ怒りの眼を向けてくるだけでなく涙目で睨んできているため、怒りと謎の罪悪感がセットで追い寄せてくる。
「あ、あの、小姫さ─────」
「うるキモさい!死んじゃえ!」
小姫さんは自分の目を両手で擦りながら色々と日本語がおかしい罵倒を浴びせてくる。
・・・まぁなんで泣いたのかは正直本当に分からないが、ここまで俺に罵倒を浴びせるだけの気力があるなら、大丈夫か。
「はぁ〜あ、こんな虫と話すだけ無駄だったなぁ〜」
「はぁ?こっちのセリフなんだけど、貴重なそーくんとの時間をこんな女に奪われるなんて・・・」
どうやら言い合いが終わったらしく、初音と結愛がリビングに来た。
それにお構いなく、あゆが口を開いた。
「もう〜せんぱ〜い、小姫先輩のことを襲おうとしたらそんなのこうなっちゃうに決まってるじゃ無いですか〜!」
「は─────」
「は?」
俺が疑問の声を上げるよりも先に、初音が疑問の声を上げた。
「なんで私以外の女襲おうとしてるの?」
「ち、違う!は、初音、なんでいっつも俺が騙されやすいとか言うのにそうやってすぐに俺のことを疑─────」
「そーくんが騙されやすいからこそ私が目を光らせてあげないといけないし・・・じゃああれはなんなの?」
初音が指を指した先には涙目の小姫さんが居た。
・・・なるほど、状況的にも確かに疑われても仕方ないか。
・・・って!
「あゆ!なんでいきなりそんな意味の無い嘘をつくんだ!」
「えっ、嘘なんですかぁ?小姫先輩が泣いてるからてっきりそう思ったんですけど〜」
「俺がそんなことするわけないだろ!」
「うん、そーちゃんが私以外の女とえっちしたいなんて思うわけ・・・そーちゃんがそんな酷いことするわけないよ!」
ん?・・・うん。
「え〜、でも〜それだとなんで小姫先輩泣いてるんですかぁ?」
「だから泣いてないって言ってんでしょ?そろそろウザイんだけど」
「えっ、私ウザイんですかぁ?こんなに心配してあげてるのに!?」
「心配って字の意味辞書で引いてみたら?真逆だから」
「・・・はぁ、まぁそーくんが私以外の女に欲情する訳ないか」
そう思ってるなら最初から疑わないでほしい、とは言えない。
「それにしてもこんなにもそーくんに群がるメスが増えたなんて・・・そーくん、そろそろ引っ越しも考えないといけないかもね」
「え」
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