第717話天銀と決心

`ガチャ`


「鍵も閉めてっと・・・うんっ!」


 先輩と天銀先輩を2人きり作戦成功!

 ちょっと想定外な展開だけど、天銀先輩が先輩のことを好きなのは初対面の時に分かったし、男同士でも・・・まぁ、先輩の貞操的な意味で初めてを取られることはないから、そっちで成功してくれたら良いなぁ。

 そしたら天銀先輩に相談したら先輩を貸してもらえたりして・・・

 うんっ!白雪先輩と付き合ってる膠着状態より、全然そっちの方が私的には希望あり!


ー総明Partー


「あ。あゆはいきなりなんのつもりなんだ・・・?」


「さ、さぁ・・・あゆさんは不思議な方ですからね」


「まぁいい・・・すぐ出よう」


 俺はこんなおふざけに付き合うつもりはさらさらないので、すぐにこの脱衣所から出ようとするが・・・


`ガチャガチャガチャ`


「・・・え」


`ガチャガチャ`


「・・・嘘だろ?」


 完全に鍵が閉められてしまっている。

 ・・・あゆ。


「なんのつもりだ!!」


 最悪だ・・・


「・・・・・・」


「天銀、どうにかならないか?」


 探偵とかならもしかすると開け方がわかるかもしれない。

 一応内鍵もあるにはあるがあゆに取られてしまったようだ。


「そうですね・・・」


 天銀はドアに近づいて鍵穴を覗き込む。


「・・・・・・」


 それから約2分間、何も喋らなかったので俺から喋りかける。


「あ、天銀?」


「は、はいっ!」


「ど、どうだ・・・?」


「・・・そ、そうですね、こ、これは非常に難しいかもしれませんね」


「え、そうなのか?」


「は、はい、シリンダー錠と言っても色々な種類がありましてこのマンションは高層マンションなので道具なしでは難しいみたいです」


「そうか・・・」


 なんか若干棒読みな気がしないでもないが、まぁいきなりこんなことになったら天銀でも多少棒読みになるか。


「・・・・・・」


「どうするか」


「お、お風呂に、入れば良いんじゃ、ないでしょうか・・・」


「・・・え?」


「いえ!その決して変な意味ではなく!最王子くんも帰ってきたばかりでお疲れだと思うので・・・!」


 天銀に下心がないのはわかるが・・・


「あ、天銀はその間どうしてるんだ?」


「・・・僕も、入ります」


「え!?」


「脱衣所で1人いる方が不審な気がしますが」


 いや・・・まぁそれはそうなんだけど。


「そ、それって・・・その、裸で、か?」


「あゆさんも裸の付き合いと言ってましたし・・・」


 あゆ〜!

 くっ・・・そうか、あゆは天銀が本当は女子だと知らないんだった。

 だからこんなことを・・・とは言えそれを今更バラすわけにはいかない。


「・・・わ、わかった、きょ、極力目は開けないようにする」


「いえ、お風呂場でそれは危ないです」


 さらっと真面目に注意するのはやめていただきたい。


「じゃ、じゃあどうするんだ?」


「ぼ、僕にそれを言わせるんですか・・・?」


「いや・・・」


 つまり本当に一緒にお風呂に入るってことか・・・


「さ、流石にバスタオルぐらいは巻いてくれるよな・・・?」


「は、はい・・・!もちろんです・・・!」


 こうして、急展開すぎるが俺と天銀は一緒にお風呂に入ることとなった。

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