第716話風評被害
「はぁはぁ」
「そんなにはぁはぁしないでくださいよ〜、恥ずかしいですってばぁ」
「変な受け取り方をするな!」
全く・・・なんで俺がメイド好きなんていうことにされてひたすらご主人様と連呼されないといけないんだ。
・・・それにしても。
「まさかあゆが俺のことをずっとストーカーしてたなんて・・・」
「あっ、ストーカーしてたって言ってもそんな長い間じゃないですよ?流石に先輩が高校生に上がった時には手を挙げましたから」
「引っ越した時までって・・・じゃあ半年ぐらいの間はずっと俺についてきてたのか?」
「はい♪」
「はいじゃない!」
まぁ・・・今となってはもうどっちでも良いことだな。
あゆとの出会いを聞かされたけど正直あんまり覚えていなかった。
でも言われてみればそんなこともあったような気はする。
「そろそろご飯ができてるかもな、冷めないうちに行こう」
俺がもしかしたらもうご飯ができているかもしれないと思い、ベランダからリビングに戻ろうとするが。
「あ、待ってください、最後に一つ確認したいんですけど」
「・・・ん?」
「今の話を聞いても、私を恋人にしてくれる気は無いんですよね?」
「・・・あぁ」
「・・・わかりました」
俺はあゆに短く返答してベランダをすぐ後にする。
あのままベランダに居ると罪悪感が芽生えてきそうだったからだ。
「・・・そろそろ、ですね」
リビングに戻るが、まだ料理ができている様子がなかった。
「あれ〜?まだできてないんですかね〜?遅いなぁ、私ならもう出来てますよ〜、そんな仕事の早い私に毎朝お味噌汁食べたいって言ってみませんかぁ?」
「言わない!」
・・・でも確かにいつもならもうそろそろできてるはずなんだが。
あんまり急かすようなことはしたく無いけどちょっと心配だしキッチンを見に行こう。
俺とあゆはキッチンへと向かう。
キッチンは喧騒に包まれていた。
「だから!私がそーちゃんにご飯を作ってあげるのっ!」
「だからって何?私も何度も言ってるけど、私がそーくんにご飯作るから!」
「お二人とも落ち着いてください、もう言い争ってから10分ほど経過しています」
・・・なんだこの地獄絵図は。
「あっ!そーくん・・・違うよ!?私が料理遅いんじゃなくて!この女がいるせいだからね!?」
「えっ・・・そーちゃん!違うよ!この虫が悪いの!」
「はぁ!?こんなところそーくんに見られて料理もろくにできない女って思われたらどうしてくれるの?風評被害どころの騒ぎじゃ無いんだけど、竜巻だよ?」
「あぁ!もううるさいっ!」
結愛は包丁を持ったまま初音に近づいた。
・・・え。
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