第707話結愛の高テンション
「・・・あ」
「なに?」
「どうしたの?そーちゃん」
「いや・・・」
そう言えば明日はあの元の家に帰るんだろうか。
まぁ2日連続で泊まるなんて話はしてなかったし・・・一応聞いておくことにしよう。
「あ、明日は家に帰るんだよな・・・?」
俺が不安紛れに聞くと、初音は答えた。
「うん、この女だけ置いて私とそーくんだけで帰ろうね」
「え?私はそーちゃんとずっと一緒だから私のことが嫌いなら私と離れてよ、それならそーちゃんとも離れることになるだろうけどね」
また火種の匂いがしたがとりあえず明日は家に帰る予定らしい。
もし明日家に帰ったら間違いなくあゆに今日のことについて追随して聞かれることになってしまうだろう。
あゆからの電話の時も多少雑に通話を切ったし、絶対にそれについても色々言われるに違いない。
しかも家に帰ったらあゆだけじゃなく小姫さんもいる。
きっと罵詈雑言を浴びせられてしまうことになるんだろう。
天銀は別に何も害は無いが、俺が帰ることにより家がうるさくなってそれに巻き込んでしまうと考えると申し訳ない。
まぁあの家は俺と初音の家だから別にそれは良いんだろうけど・・・
「・・・はぁ」
俺はそんなことばかり考えていると、ため息をついてしまう。
「そーちゃん?どうしたの?疲れてるの?」
疲れてないか疲れてるかで言うのであれば疲れている方が一瞬で勝利してしまうほど圧勝で疲れている。
まぁここ最近は疲れているなんて当たり前のことすぎてもうなんとも思わなくなってきたが・・・悲しい。
「・・・ごめんね、そうだよね、こんな虫なんかと一緒に居たら疲れちゃうに決まってるよね、本当なら今すぐにでも2人きりになってそーちゃんの疲れを癒してあげたいけど、この虫は虫の中でも厄介な寄生虫だから・・・」
「は?寄生虫はどっち──────」
「あっ!そうだそーちゃん!さっきの私の手、気持ち良かったっ?」
「・・・え?」
な、なんでせっかくほとぼりが冷めてきたのにまたその話を蒸し返すんだ・・・!
「気持ち良かったよね?気持ち良いから出ちゃったんだもんね?」
「あれは・・・」
「可愛いなぁそーちゃんは、あんな虫じゃ気持ち良くなれなかったけど、私がちょっと触っただけで一瞬で気持ち良くなっちゃうなんてっ!」
「は?私の良いところ取りしただけでしょ?」
「虫なんかが強がったって全然可愛くないよ?そーちゃんが強がるなら可愛すぎて失神しちゃうかもしれないけど」
そして結愛は恍惚とした表情で語りだす。
「はぁ・・・そーちゃんのが私の手の中で気持ち良さそうにしてるのは本当に良かったなぁ」
「ちょっ・・・や、やめてくれ」
「恥ずかしがってるの?可愛いね〜」
「可愛くない!」
「きゃぁ〜!強がってる〜!可愛・・・ぃぃ」
結愛は俺が強がっていると見るや否や、本当に宣言した通りに失神してしまった。
「ゆ、結愛!?」
「そんなのの心配なんてしなくて良いよ」
いつもならもっと怒ってそうな初音だが、今の初音は若干結愛に対して引いているようにも呆れているようにも見える。
・・・さっきの結愛は、俺と恋人になったこととか俺が結愛で達してしまったこととかのせいでちょっとテンションが舞い上がっていたのかもしれないな。
俺は結愛のことをベッドの上に移動させようとしたが、初音が見ていたため自然に毛布をかけることぐらいしかできなかった。
そして俺と初音はもう一つの部屋の方で同じベッドで一緒に眠った。
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