第701話大事な問題

「うっ、あぁ・・・」


 俺は気の抜ける声と同時に、快楽の証拠となる物体を放出してしまう。

 心臓が自分の真横にあるんじゃ無いかと思うぐらい心臓の鼓動が大きく聞こえる。


「うんうん、気持ち良いんだね、そーちゃん❤︎そーちゃんのこれが気持ち良さそうにしてるのが分かるよっ!」


 と、何故かいきなり初音と入れ替わっていた結愛が言う。


「はぁはぁ・・・」


 確かに気持ち良かったのは認めざるを得ない・・・が。

 その後にやってくるこの強烈な疲労感が辛いな・・・

 前は初めてだったからだと思ってたけど、これだけは何回しても変わらないのかもしれない。


「あ、大丈夫?そーちゃんっ!」


 結愛は俺の疲れている様子を見かねてか、俺の背中をさすってくれている。


「あ、ありが──────」


`ドンッ`


 俺が結愛に感謝をしようとすると、今度は鈍い音とともに結愛が俺の目の前から消えた。


「そーくん」


「ん?」


「何私以外の女の手で子種出してるの!?ふざけてるの!?しかもさっきあの女にお礼なんて言おうとしてたよね・・・?」


 初音は一瞬怒声を出したが、すぐに冷静に怒っているような声音に戻った。


「いや、も、もう初音が良いって言ったから気が抜けてしまったというか・・・」


「確かに私は良いって言ったしあんな女なんかに油断してたとは言え吹き飛ばされた私にも落ち度はあるけど、そもそもそーくんが私以外の女で気持ち良くなったって言うことが問題なの、私だったらそーくん以外の男に何されても絶対に何も感じないもん」


 初音は断言する。

 それは流石に・・・と思いつつも反論できないのが歯痒い。


「っていうかそもそもそーくんが以外の男に何かされるなんてこともあり得ないし、もしそんなことになるならそうなる前にその男殺すし」


 またも触れづらい話題だな・・・


「そーくんはどうなの?なんであの女のこと殺さなかったの?」


「こ、殺すって言うのは、その・・・犯罪だろ?」


「は?犯罪?それが何?犯罪だから私以外でも気持ち良くなっても良いって思ってるの?」


「・・・・・・」


「しかもそーくんの理論で言うなら、そんなの正当防衛に決まってるよね?」


「そ、それでも殺すって言うのはやりすぎ・・・」


「私のそーくんにそんなことしたんだから、そんなやつは死んで当然───────」


`カンッ`


 初音がまたも物騒なことを言おうとしたところで、今度は刃物と刃物がぶつかる高い音がした。


「っ!」


「油断してなかったらそんなの喰らうわけないっ・・・!」


 どうやら結愛が刃物で斬りかかろうとしたところ初音がそれを刃物で受け止めたらしい。

 ・・・なんなんだこの文面は、ファンタジーの世界でも無いのにこんなことがあって良いのだろうか。


「そーちゃんが私の手で気持ち良くなるのは普通でしょ!?」


「は?それが問題だって言ってるの」


 ・・・それから地獄のような世界が始まった。

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