第700話限界と到達

「えっ、ちょっ・・・え!?」


 初音が部屋に戻ってきたと思ったら、その表情はだいぶ慌てた表情になっている。

 電話の内容がそんなにすごかったのだろうか・・・と思った矢先。


`ドンドンドンッ`


 俺の部屋のドアから物騒な音が聞こえてきた。


「えっ?えっ?」


 俺が困惑していると、今度は初音が歪んだ笑顔になって言う。


「そーくんお待ちかねっ!気持ち良くしてあげるねっ!!」


 い、いやいやいや!

 確かにこの生き地獄から解放して欲しいとは言ったし今も思ってるけどこんな物騒な音とともに良くわからない状況なんて集中できない。


「そーちゃん!逃げて!!」


「ゆ、結愛・・・?」


 結愛がこんなにドンドンしてるのか・・・いやまぁ母さんたちが出かけてる以上結愛以外だったら逆に怖いんだが。


「そーくん」


「ひっ」


「何?ふざけてるの?ふざけてるにしても度が過ぎてるよ?こんな時に他の女の名前を呼ぶなんて」


「ち、違う、反射的にというか・・・」


「反射的に他の女の名前なんて呼ぶの?」


「そ、そうじゃなくて、い、いきなり大きな音が鳴って声が聞こえてきたらちょっとぐらい反応しちゃっても仕方ないだろ・・・?」


「・・・まぁ、許してあげるかどうかは、今からのそーくんの頑張り次第かなっ・・・!!」


 そう言うと初音は今一度俺のことを無理やりベッドに押し倒す形で連れ込んだ。


「えっ、ちょっ、初音・・・!」


 初音は俺が念のために程度の気持ちで履いておいた下着を糸も容易く、もしかしたら破れてしまうのでは無いかと思うほどの力で脱がせた。


「そんな嫌そうな声出してっ!そーくんの感情なんてここを見れば一発でわかるんだから・・・!」


 初音は俺のそれを見て満足そうに微笑んでいる。

 ・・・確かに感情と比例して変化することは認めるけどさっきあんなに刺激を与えられていたら感情なんて関係無い気がする。

 そしてようやく俺は俺のことを生き地獄へと落としていたリングを外された。


「じゃっ、容赦無く行っちゃうよ・・・!」


 その言葉を始めとし、初音はさっきよりもさらに激しく行動に移した。

 当然俺がそんな激しい責めに長い時間など耐えられるわけもなく・・・早くもそろそろ限界だと言うところまで来た。


「は、初音、もう・・・」


「うん、良いよ・・・!」


 初音からの許可もいただけたところで、俺はもう何も考えずにただただ自身の体に心を預ける。

 ・・・と、決めた瞬間にドアの方からガタッという鈍い音が響いてきた。


「えっ、待て、なんか音が───────」


「良いから良いからっ!」


 初音は周りが見えていないのか、それでも続行してきた。

 っ・・・も、もう、俺も限界─────


`ドンッ`


 突如、俺の目の前から初音が消え、なぜかそこには結愛が立っていた。


「気持ち良くなってね、そーちゃん❤︎」


 もうすでに初音によって限界を迎えさせられていた俺は結愛が一度俺のそれに刺激を与えただけで・・・達してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る