第694話焦らし

「ふんふふんふふ〜ん♪」


 3ヶ月前までなら考えられなかったほどの速度で、初音は俺のことを脱がして行く。

 当然ここで多少抵抗するのは簡単なことだが、そのが後になって何倍になって返ってくるともわからない。

 だから俺はこの結果を甘んじて受け入れるしかない。

 初音は俺のことを下着一枚にした後、小さく呟く。


「拘束は・・・しなくていっか、言質を取ってて証拠も残ってる以上逃げるつもりはないだろうけど、もし逃げたら・・・ね」


 初音は意味深なことを不気味に残した。

 ・・・本当についさっきまでの俺の優位性はどこに消えてしまったんだ。

 お風呂に上がった直後ぐらいは初音のことを負かせたことに、最低かもしれないがそれでも珍しい勝利に喜びを感じていたというのに・・・

 どこで間違ってしまったんだろうか。


「それじゃあそーくん、最後の一枚は自分で脱いで」


「・・・え?な、なんでだ?」


「私に脱がせて欲しい気持ちはわかるけど、最後ぐらいは自分で脱いでもらわないと、私が無理やり脱がせたってそーくんの記憶に残ったら、結局今までと同じで意味無いでしょ?」


 初音はもっともらしいことを言うが、俺からすればどっちにしろ無理矢理なためあまり大差がない。

 かといって自分から脱ぐって言うのも抵抗がある。


「・・・・・・」


「何?今の自分の立場──────」


「あ、あぁ、わかってる、わかってるって、悪かった」


 俺はそれでもできるだけ初音の機嫌を損ねないために、下着を自分の手で脱ぐ。


「もうそろそろそーくんも見られ慣れてきてくれたかな?私はまだまだ観葉植物見たいにずっと見られるなら見ておきたいけど」


 初音は俺のそれをつんつんと触る。


「慣れない!慣れるわけないだろ!?」


 当然俺は反論する。

 こんなこと・・・本当に慣れる気がしない。

 何度も言うけど、本当に世のカップルたちはこんなことをしてきてるのか?

 正直ガセ情報を流されているんじゃないかと疑いつつある。


「うんっ、それが聞きたかっただけ〜」


「なっ・・・」


 とことん遊ばれてる気がするな。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 その後、なぜか少し小さな沈黙が生まれてしまう。


「え〜っと・・・初音?」


「なに?」


「何・・・?って、その・・・なんていうか、そう言うことするんじゃなかったのか?」


「なんでそんなこと聞くの?」


「いや、しないならしないで良いんだけど、それなら服を着たいというか・・・俺だけ裸なのは非常に恥ずかしいというか・・・」


「私にも裸になれってことだねっ!わかったよっ!」


「あっ、別にそう言うわけじゃ──────」


 俺が止めようとするのも虚しく、初音は下着をも脱ぎ捨て本当に裸になってしまう。


「ごめんごめん・・・じゃっ、焦らすのはこのくらいにして」


 初音は改めて避妊道具に注目させるように避妊道具を前に突き出し。


「シよっか❤︎」

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