第693話言質
「お楽しみって・・・え?」
まさか・・・いや、まさかじゃなくても、普通にもうそういうことしか考えられないな。
「うんっ♪子作りだよっ♪って言っても、女が産まれたら殺すっていう私の考えは変わってないから、本当は嫌だけど、避妊してあげる」
「避妊って・・・さっき避妊用具はないからって、お風呂場では思いとどまってくれたんじゃなかったのか?」
お風呂に入った後もずっと一緒で、買い物に行く好きなんてなかったはずだ。
「あの時はそーくんがいっぱい好奇心を唆るようなことばっかり言うから、焦って避妊道具を忘れちゃっただけで」
と言うと初音は近くに置いてあった初音の鞄から、何かを取り出した。
「もちろん避妊道具自体は持ってきてるよっ♪」
「えっ・・・」
・・・え?
「さっきそーくん言ってくれたもんね?避妊道具さえあれば私とえっちなこと、してくれるって言ったもんね?」
「・・・・・・」
まずい・・・確かに言ってしまった。
でもあそこはお風呂場、しかもここは俺の実家だ。
初音が監視カメラとか盗聴器を予めつけられたとは思えない。
それなら・・・
「そ、そんなこと言ったか・・・?いや〜、覚えてな──────」
俺が忘れたフリ作戦を決行しようとしたところで、今一番聞きたくない声が聞こえてきた。
『
そう、俺のついさっきの声・・・
俺が避妊道具があればそういうことをするとその場逃れのために言ってしまった言葉の録音である。
「そーくん、何かあるかな?」
「・・・な、何も無い」
ま、まさか盗聴器なんて仕掛けてきたのか・・・ってことは母さんとか父さんとかももし俺より先にお風呂に入ってたら危なかったのか!?
「あ、誤解を招きたく無いから言っておくけど、これはポケット型の盗聴器で、元々設置してたわけじゃ無いから、そーくんのお父様の裸を盗み聞きしようなんて思ってないよ、いくらそーくんのお父様とはいえ、男性は男性だし、私が浮気なんてするわけにはいかないからね」
どうやら俺の浮気について厳しい代わりに、自分の浮気にも厳しいらしい。
それにしても・・・そうか、良かった。
ポケット型の盗聴器か。
それなら母さんとか父さんの心配をする必要は無・・・って!
「全然良くない!!」
おかげで俺は言質を取られてる挙句、初音は気持ちも道具も両方準備ができている状態。
言質を取られてるから俺に選択肢なんてものもありはしない。
つまり・・・
「じゃっ!ぱぱっと脱いじゃおっか!さっきまで一緒に裸でお風呂に居たんだし、恥ずかしいなんて思わないよね?むしろっ!お風呂上がりの良い匂いが漂う体で興奮するよねっ!・・・はぁはぁ、そーくんのお風呂上がりの艶のある体と初めてを・・・はぁはぁ」
ということらしい。
拒否権なんてものもありはしない。
俺はこれから、ただただ人形のように、初音に貪られてしまうんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます