第691話浮気者の性
そんなこんなで、自分の部屋にあった格闘ゲームで結愛と遊ぶことにした。
結愛はやはりゲーム慣れしていないのか、俺の方がゲームはうまかった。
初音はほとんどゲームなんてしたことなかったはずなのにめちゃくちゃうまかったな・・・
なんてことを思いつつ、リアルファイトなら1秒でKOされてしまう俺が、何十秒かで結愛のことをKOした。
「あぁっ、そーちゃんはゲームお上手だね〜」
「そ、それほどでも・・・」
「ううん、お上手だよ〜」
みたいなことを言いながら俺たちは10分ぐらいそのままゲームを続けた。
俺は別に特段ゲームが上手いわけではないが、結愛が極端にゲームをして来なかったのかお世辞にも上手いとは言い難い感じだ。
とは言え俺だって鬼じゃない、バレない程度にちょっとだけ手を抜いたりもしている。
「・・・ん?」
みたいなことをしていると、目に見えない何かで殺気を感じてきた。
な、なんだ?まさかとは思うけどゲームで勝てないからリアルで・・・みたいなことを考えてないよな!?
俺はそう思い至り、真横にいる結愛の方に振り返る。
`カチカチカチカチ`
が、結愛はゲームに集中しているようだった。
ほっ・・・多分気のせいだな。
結愛がそんなこと考えるわけない、このよく分からないさっきは気のせい──────
「そーく〜ん」
「ひっ」
「な〜に〜し〜て〜る〜の・・・かな?」
真後ろから良い香りと共に、初音の声が聞こえてきた。
しかも、香りに殺気が込められてしまっている。
「は、初音、こ、これは・・・」
「ゲームしてただけだけど、何か問題?」
俺が初音に怯えていると、結愛が容赦なく切り出した。
さ、流石だ・・・
「は?問題に決まってるでしょ?何私が髪乾かしてるのを良いことにそーくんとゲームなんて羨ましいことしてくれてるの?」
「別に、友達でも一緒にゲームぐらいするに決まってるよね?」
「私がそんなこと許容すると思ってるの?」
「しないなんて言われても、私達がどうするかは自由だよ」
「私達って・・・そーくんもそーくんで、なんでこんな女なんかとゲームしてるの?ふざけてるの?浮気してるの?」
「えっ・・・!?」
・・・バレた!?
嘘だろ!?こんな簡単に!?
「そうやってなんでもかんでも浮気って決めつけて・・・だからそーちゃんは助けを求めて無意識に私と2人になりたいと思ったのかもしれないね」
ち、違う・・・そんな簡単にバレるわけがない、落ち着け俺。
初音はいつもの感覚で浮気っていう単語を出しただけだ。
・・・実際に浮気と呼ばれる行為をしているからなのか、その単語を聞いただけで心臓を握られたかのような感覚に陥ってしまう。
「・・・・・・」
初音は俺のことを冷たい目で見ている。
バ、バレてない・・・バレてない、バレてない。
こんな小さなことでこんなにしんどくなるのか・・・浮気者の性だな。
俺は改めて、浮気というものの重さを知ってしまった。
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