第688話お母様は甘くない?

 ・・・が、これだけじゃ「そーくんは一触即発チャレンジでもしてるつもりなの?」とかって言われかねない。

 初音が言うにはキスしながら初音の裸を弄れってことらしいけど・・・

 ぶっちゃけ何をどうすれば良いのかわからない。

 当然初音の裸に対する耐性も全くついていない。

 ・・・嘆いても仕方ない、まずは一番安全そうなお腹あたりを適当に弄ってみる。


「んぁぁぁぁぁぁっ❤︎」


 初音は艶のあるどころではない声をあげる。

 お腹をちょっと触っただけでそんな声は絶対に出ない!


「そ、そーくん・・・❤︎そ、そのまま・・・❤︎」


 初音は俺が初音のお腹の上に置いてある手をどんどんと下へとずらしていく。


「お、おい・・・!」


 そしてお腹から下半身にかけての下り坂のようなところに手が──────


「って、いやいやいや!は、早い早い!!」


「早い・・・?とりあえずそーくんの指を私ので洗ってあげようと思っただけだし」


「中っ・・・い、いや、そ、そこはそんなことをする場所じゃないだろ?」


「っ!なら今すぐそーくんの大事な部分を私に挿れてくれるってこと!?」


「あ、そう言うわけでは・・・ない」


「・・・なら黙っててよ」


 初音は露骨にテンションを下げて俺の手を下へ下へとずらしていく。

 っ・・・!とうとう触ることになるのか・・・!

 初音のを見たのは初めてじゃないけど、触るのは初めてだ。

 ここまできたら覚悟を決めるしかな──────


「初音ちゃ〜ん?大丈夫〜?大きい声聞こえたけど〜」


「っ!?」


 お風呂の外から母さんの声が聞こえてきた。

 当然俺もそれには驚いたが、俺よりも初音の方が驚いたみたいだった。


「だ、大丈夫です〜!」


 初音はすぐに返答する。

 多分さっき初音が大きな声をあげたから何かあったのかと勘違いして様子を確認してきたといったところだろう。


「よかった〜、あっ、明くんどこにいるか知らな〜い?」


 まずい・・・!ここで初音に俺が初音と一緒にお風呂にいるなんてばらされたら絶対に色々と勘違いされて「一緒にお風呂にまで入ったんならもう責任取っちゃうしかないかな〜?」みたいな展開になりかねない!


「わからないです、そーくんのことだから適当にお散歩でもしてるかもです〜」


「ん〜、そうだね〜、明くんだもんね〜」


 なんでそれで納得がいくのかはさておき、俺の思ってた初音の返答と違うな。

 まさか初音が俺と一緒に今お風呂にいる事実を隠してくれるなんて。

 やっぱり初音も女子高校生、恋人の親に一緒にお風呂に入ってるなんて言うのは恥ずかしいってことだな。


「まぁいっか〜、ゆっくり浸かってね〜」


「はい!ありがとうございます」


 初音がそう返答すると、母さんはお風呂前を後にしたらしい。


「助かった・・・それにしても、初音のことだから俺がお風呂にいることもばらすかと思ったけど──────」


「勘違いしないでねそーくん」


「・・・え?」


「私は別にそーくんの意思を尊重するためにそーくんも一緒に入ってるってことを言わなかったわけじゃないよ」


「じゃ、じゃあなんで言わなかったんだ?もし無理やり早く婚約に持ち込みたいならバラした方が良いんじゃなかったのか?」


「・・・・・・」


 初音は少し間を空けてから言う。


「そーくんが思ってるほど、そーくんのお母様は甘くないよ」


「は、は?そ、それってどういう──────」


「それよりもっ!続きっ!シよっ?」

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