第681話お母様の一面
お母様とお父様がキッチンに行ってから少し・・・
「少しお飲み物を取ってきます」
「あぁ、わかった」
私は喉が渇いてきたのでキッチンへと向かい、飲み物を取るために冷蔵庫の前に来ました。
・・・お母様は、お兄様に対して隠し事をしていることがあります。
その一つが。
「お父さん、何しようとしてるの?」
「な、何って・・・お、お腹が空いてるからご飯を食べようと──────」
「私が言うまで食べたらダメって言ったよね?明くんたちが居るからって舞い上がっちゃったの?」
「うっ・・・」
お兄様の前でのお母様と、お父様に見せるお母様の違いです。
もちろん普段からお父様に対してこんな態度を取っているわけではありません。
お父様が何かしら不祥事を起こしてしまった時だけ、このようにお父様に対して冷たい対応を取っています。
今回は何をしでかしてしまったのでしょうか・・・
「で、でもそもそもその前提が間違ってるんだって」
「前提ってなぁ〜に?」
「俺が不倫を企んでるって話のことだ」
不倫・・・
「・・・またその話するの?こっちは証拠だって上がってるんだよ?」
「証拠って、あのメールのことだろ?あれは仕事相手だって何度言えばわかってくれるんだ!」
「その仕事相手と不倫を企んでるんでしょ?私が高校生の時から口酸っぱく女の子と連絡先交換するならまず私を通して私を説得させてって言ってたのにあのメール相手の人の時は私になんの相談もなかったよね?」
「あ、あれは連絡先交換っていうか・・・メールアドレスに仕事関係のメールを送付しただけだ」
「それも何度も聞いたけど、他の女の人のメールアドレスにメールを送ることがあるなら、まず私に相談すべきなんじゃないかな?」
「仕事関連のことでいちいち御子響に相談するわけにもいかないだろ?」
「・・・いちいち?」
お母様の雰囲気が変わる。
「いちいちってなにかな?私は大事なことを話してるんだけど?」
「あ、悪い、言葉の綾だ・・・今のは俺が悪かった」
お父様はお母様の雰囲気が変わったことをすぐに察知したのか、すぐに自分が悪いことを認めた発言をしました。
・・・お兄様なら「あっ、いや、その・・・」と言った感じで戸惑っておいででしたでしょうが、流石お父様・・・お母様との付き合いが長いだけあって、よくわかっておられるようです。
「うん、そうだね」
お母様もそれを特になんとも思っていなく、普通のことだと思っているようです。
「・・・でも、私がスマホ見せてって言って素直に見せてくれたし、今回はこのくらいで済ませてあげるね、明くんたちも来てるし」
「・・・・・・」
私は冷蔵庫から取ったお飲み物をカップに注いでそのカップを手に持ちます。
・・・これがお兄様に隠しているお母様。
私は昔から知っていましたが、お母様はお兄様にこういったところは隠しています。
お兄様は良くも悪くも純情なため、そういう面はお兄様には隠して綺麗なお母さんと思われたいと言っていました。
「あっ、きーちゃん、私今からお父さんにご飯作ってあげないとだから、明くんたちのことはちょっと任せるね?」
「はい、わかりました」
お母様は、私とお兄様の婚約を認めてくださらないところ以外は本当に尊敬できるお方です。
本当にそこだけ、ですね。
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