第675話ずるい言い回し
2人ともどうしたんだ・・・?
別に結愛に特段変わったところは見受けられないけど。
「やはり桃雫さんは・・・大きい、ですね」
「・・・は?」
「胸しかないメスのくせに・・・!」
胸・・・?
・・・もしかしてだけど胸枕的な話をしてたからそれ関連で結愛の胸が大きいことに2人とも改めて驚いてるってことか・・・?
こんなことを口に出すと気持ち悪いから確かに結愛の胸の大きさは確かにすごい、大人でもそうそういないだろう。
「は、はっはぁっ、そ、そーちゃんがっ、こんな虫の貧相な胸にっ・・・!」
結愛は憤慨した様子でこちらに向かってきて・・・力づくで俺のことを初音から奪い取った。
「うわっ!」
その力の強さ故に、俺はベッドから転がり落ちてしまうも、結愛がダメージを最低限に軽減するように庇ってくれる。
「そーちゃん!大丈夫?頭痛くない?」
結愛は真剣な声音で言う。
俺が今ベッドから転げ落ちたからそれを心配してくれてるのか・・・?
・・・だったら最初からそんな激しくしないで欲しかったな。
「だ、大丈夫だ、結愛が庇ってくれたからな」
「そっちもだけどっ!それよりも岩に頭なんて置いてて痛くなかった?」
「・・・岩?」
何を言ってるんだ結愛は、ここは家の中だ、岩なんてあるわけがない。
「あの虫の胸のこと!」
「・・・え?」
岩って・・・初音の胸のことだったのか!?
て、ていうかいくらなんでも岩は言い過ぎだ。
後ろから強烈な殺気を感じる。
「あんなに小さいんだから痛かったよね・・・」
も、もうやめてくれええええ!
後ろから殺気が・・・!殺気が・・・!!
「そーくん、何黙ってるの?反論してよ」
反論って・・・俺にどう反論しろって言うんだ。
ここで俺が「違う!初音の胸は至高の柔らかさで枕としてとても優秀だ!」なんて言ってみろ、初音のことは庇えたとしてもそんなのは最低な発言すぎる。
「え、えーっと、わ、悪くはなかった、ぞ・・・」
俺は気持ち悪いかどうかギリギリのラインを攻めてこの返答をする。
しっかりとした意思表明はせずにあくまでも嫌ではなかったと言うことだけを伝える、こういう状況での模範解答である。
・・・いや、そのはずだが。
「は?何それ、はっきり言ってよ」
と、まさかの初音からのお達しが来る。
人がどうにかギリギリのラインを攻めた返答をしたのになんではっきりなんて逃れようのないことを言ってくるんだ・・・!
俺は俺の本音をはっきり言うことにした。
「む、胸なんてデリケートなことに対して男の俺がはっきり言うわけにもいかないだろ?」
「彼女が貶されてるのに、そーくんは何も思わないの?」
「うっ・・・」
その言い方はずるいだろ・・・!
「ま、周りがなんて言っても関係無い、だろ・・・?」
「関係無いけど、私が攻撃されてるのに守ろうともしないのはどうなの?」
本当に言い方が酷いな・・・でも一応その通りだから何も言い返せない。
「その、心地良かった・・・です」
「うんっ♪それでいいのっ!」
・・・・・・。
「可哀想、言わされてるんだね、そーちゃん、だけど──────」
「ただいまー!みんなー!朗報だよー!」
母さんが買い物から帰ってきたのか、玄関から母さんの声が響く。
・・・朗報?
「お父さんがやっと帰ってきてくれたよー!」
「・・・えっ!?」
「・・・・・・」
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