第674話胸枕論
「───ので─────です!」
「──────よ?」
・・・なんだ?
「胸の大きさに関しては私の方が大きいので、枕にするなら白雪さんの胸よりも私の胸の方がお兄様だって嬉しいはずです!」
「霧響ちゃん、もう一度言うけど、発言には気をつけた方がいいよ?」
「ひっ」
俺は怖すぎる初音の声音に思わず小さな声を上げてしまう。
こ、これは今起きると間違いなくヘイトが俺に向くな・・・ちょっとの間だけ寝てるフリをしておこう。
・・・それにしても良い枕だ、こんなにも心地良い枕があったとは。
「私は真っ当なことを言っています、論理的に考えてどこも間違いは無いと思いますが」
「そーくんは妹に胸枕してもらうなんていう構図は望んで無いんじゃ無いかな?」
「お兄様は照れが過ぎるのでお言葉では確かにそう言うかもしれませんが、内心ではきっと嬉しいはずです、その証拠に、お兄様は眠る時に少し高い枕を使用しています」
「・・・高さよりも愛情の方が大事だと思うよ?それとも、霧響ちゃんは愛情もどうでも良いぐらいに論理的なのかな?」
「私の愛情も計算に入れて、です!」
「・・・・・・」
俺は、そもそもまず2人が何で言い争っているのかすら理解するのに難儀していた。
む、胸枕って・・・膝枕とかならともかく胸枕なんてまず有り得ない。
しかもそれを進んでやりたがってここまで白熱した口論になっていることが、俺は余計に理解できなかった。
「ん〜、本当に残念・・・霧響ちゃんの胸が小さかったら、胸なんかよりももっと大事なことがあるってわかってたと思うんだけどなぁ」
「ですからっ!私だってそんなことはわかっています!でも枕にするという点においては胸の大きさは重要だと言うことです!」
霧響がそう強く言い放った直後、俺は強く横に引っ張られてしまう。
・・・が、それと同時に、頭の心地良い感触は無くなってしまった。
「あっ!そーくんが私の胸から離れちゃったから嫌そうな顔してるよ!?早く返して!!」
初音が強く言い放つと、またも俺の頭に心地良い感触が戻ってきた。
・・・って、え?
ちょっと待て、この感触って・・・
「まさか!」
俺はすぐに顔を起こし、自分が頭を置いていた場所を見る。
そこには、布が被せられた初音の胸があった。
「なっ・・・!」
「あっ、そーくん起きたの?おはよ❤︎どうだった?寝心地悪くなかったかな?」
実際は心地良かったけどそれが初音の胸だってわかった後で心地良かった、なんて言えるわけがない。
「え、えーっと、ま、まぁ・・・って!な、なんでこんなことして─────」
「お兄様!大丈夫ですか!?頭は痛く有りませんか?あまり良い枕ではなかったですよね・・・申し訳ありません、本当なら私が─────」
「霧響ちゃん、そろそろお姉ちゃん・・・怒るよ?」
初音は布団を被ってるせいで中に何があるのかは見えないが、自分の足元にそっと手を添えた。
「望むところです」
「ま、待て、2人とも、一体何をする気──────」
「そーちゃん!大丈夫!?」
「・・・っ」
「・・・・・・」
初音と霧響は、突如入ってきた結愛の・・・主に胸元を見て、なぜか絶句していた。
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