第663話契約的な浮気

「まま、待て!な、何をする気だ!?」


「ん?裸になってそーちゃんとのツーショットを撮って、それをあの虫・・・もしくはそーちゃんのお母さんに見せるの、そうした方が早いよね?」


 まずい、まずいまずいまずい。

 そんなことになったら母さんはともかく初音が絶対に黙ってない。


「ま、待ってくれ!・・・そ、そうだ!ゆ、結愛の提案について話し合おう!」


「・・・話し合うって?」


 結愛は服を脱ごうとする素振りを止めた。

 よ、よし、あとはうまく・・・


「・・・お、俺としては浮気になるようなことはしたくないから浮気にならないようなことで何かないか・・・?:


「あるよ?」


「ほ、本当か!?」


「うん、さっきも言ったけど、そーちゃんがあの虫と別れて私だけと恋人になれば浮気じゃないよね?」


 そ、そうだった、ついさっきも言ってたことだろ・・・!

 色々なことがいきなり重なりすぎて冷静さを欠いているのかもしれない。


「そ、それは・・・」


「できないんだよね?だから私は、期間で絞って恋人になろ?ってことなの」


「・・・・・・」


「しかも、今後はそーちゃんと恋人になりたいなんて言わないっていう条件付きなんだよ?あの虫は恋愛面に関しては脳が溶けちゃうからあの虫の意見なんて当てにせず、そーちゃんがどうしたいのかだけで考えて欲しいの」


「お、俺がどうしたいか・・・」


「うん、それにね、そーちゃんが今後浮気をしたくないって思うなら、あの虫のためにもそーちゃんは今のうちに私との関係にも着点を見つけないといけないんじゃない?」


 そうだ、初音のためにも・・・

 初音は浮気が前提のことなんて何を言っても受け入れてくれない。

 でも、その先にあるメリットのことを考えれば・・・


「・・・わかった」


「・・・え?わかったって・・・?」


「う、浮気になるのかもしれないけど・・・その提案を受け入れる」


「・・・えっ?・・・ほんと?」


「・・・あぁ」


 あぁ、これで二股・・・学校でのあゆとの関係も含めれば三股になるのか。

 高校に入学する前の俺は俺が将来浮気するなんて全く考えてなかったのにな・・・

 こうして俺は、契約のような形で結愛と浮気することになった。


「うぅ」


「・・・え?」


「うわああああああああああああああああぁぁぁぁぁん!」


 結愛のさっき脱ごうとしていた服がはだけていたのか、俺の方に結愛が飛びついてきた瞬間に上着がはだけ、胸の谷間が強調されている下着姿になった。

 ・・・って!なんで薄着を着てないんだ!?

 そんな俺の声も心の中では意味を成さず、俺に抱きついてきた。


「ちょっ!ゆ、結愛、む、胸が──────」


「そーちゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁん!嬉しいよ〜〜〜〜!!」


「・・・・・・」


 俺は子供のように泣いている結愛を見て、ふと・・・

 昔もこんなことがあったなと、1人心の中で感慨深く思っていた。

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