第660話子供でも関係無いよ
そ、そもそも子供どうこうの話なんて高校生の内にするような話じゃないってことをなんでこの2人はわかってくれないんだ・・・!
「ま、待ってくれ、絶対に母さんはそんなことまで考えて言ってない!多分普通に忙しいかどうかを考えただけで──────」
「そうだとしても、どちみち婚約の決断を迫られてることは変わらないんだから、ついでに子供ぐらい作っちゃっても良いでしょ?」
「ついでに作るものじゃ無いだろ!?」
初音の感覚には驚かされることばっかりだな・・・
と思っていた矢先、結愛も初音に同調するように言う。
「・・・でも子供ぐらい作らないと、婚約しただけじゃこの虫は諦めてくれないと思うんだよね」
「それはこっちのセリフ!」
「ちょ、ちょっと待てって、子供をそんな利用するような形で産むなんてやっぱり間違ってる」
「えー、そんなこと言われても・・・子供の名前だってもう何千個か候補出してるんだよ?」
「・・・え?」
子供の名前・・・?そ、それに・・・何千個?
「あっ、候補の数少ないって思った?でも子供の名前って大事でしょ?だからじっくり考えてるの」
「そ、そうじゃない!何千個も候補なんて普通考えないだろ!?」
「考えるよ!」
初音は真剣な声音で言う。
・・・やっぱり初音は俺との将来に関しては嘘偽りもないらしい。
この場の雰囲気を和ませるためにも、ちょっと試しに聞いてみることにしよう。
「じゃ、じゃあ例えば女の子が産まれたらなんて名前が良いんだ?」
「女?考えてないよ?そんなの」
「・・・え?何千個も考えてたってついさっき言ってただろ?」
「そうだけど、それは男の子が産まれた場合で女なんかの名前なんて考えてるわけないでしょ?」
「は、はぁ!?」
なんでそんな考えになるんだ・・・?
「っていうか、私女なんて産みたくないの、女を産むってことはそーくんもその女の育児をするってことでしょ?育児をするってことはその女に触れるし脱がすし食べさせるし見るしってことでしょ?そんなの無理に決まってるよね?耐えられるわけないよ」
「・・・・・・」
・・・嘘だろ?
俺はあまりの返答に絶句していた。
・・・まさか自分の子供ですら性別が女性であれば他の女性と同じような対応を取るのか・・・
流石にこの考えだけは治してもらわないと高校を卒業した後も初音と恋人だったとしても子供を作るなんてできない。
「は、初音、何言ってるんだ、女っていうか・・・その前に子供だろ?」
「うん、そうだね、女児だね」
「じょ、女児っていうか・・・」
言いたいことが伝わらない気がするな・・・
「そーちゃん、やっぱりこんな女と子供なんて作ったらダメ、私ならそーちゃんとの間に産まれた子なら男の子でも女の子でも等しく愛せるよ」
「ゆ、結愛・・・」
「それに!こんなこと大声で言うことじゃ無いかもしれないけど、お胸だってあんな虫なんかよりは大きいからっ・・・!産まれてきた子供にも元気よく育ってもらえると思うよ!」
「・・・・・・」
ちょっと話の切り口はおかしい気もするけどこれに関しては俺は結愛寄りだな、いくら俺が他の女性と関わるのが嫌だって言っても自分の子供にまでそれを向けられたら家庭も何も無くなってしまう。
「・・・は、初音、そこだけは考え治してくれないか?」
「・・・そこだけで良いんだね?」
「・・・え?」
「そこだけ考え治せば、私との婚約に踏み込んでくれるってことだよね?」
・・・ん?・・・んん!?ちょ、ちょっと待て!?
「・・・えっ、よ、要望できるならもっと色々と治して欲しいところが──────」
「わかったっ!確かにせっかくのそーくんと私だけの子供だもんね、今すぐには無理だけど・・・後ちょっとしたらシフトチェンジしておくから!待っててねっ!!」
「・・・あぁ、頼む・・・」
俺は婚約というものを条件とした貴重なお願いを、一つだけにしてしまった。
・・・あぁ。
2分ぐらい前に戻らせてくれ・・・
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