第652話ノーカウント
「え、え?な、なんの話だ?」
俺はいきなり来た初音に驚き、そう問い返す。
「あの女にもう私とそーくんが子作り行為をしたって言ったんだよね?」
「・・・え?い、言ってない!」
なるほど・・・きっと結愛からそのことを聞いてなんで俺が結愛にそんなことを言ったのかってことで怒ってるのか。
・・・でも。
「お、俺は初音とそういうことをしたっていうのは結愛には言ってない!聞かれてもちゃんと否定した、けど・・・た、多分、嘘だってバレてた・・・らしい」
嘘だってバレてないと結愛のあの反応はありえないからな・・・
もっと上手い嘘のつき方を覚えないとな・・・
「嘘って、何が?」
「え、だ、だから、お、俺と初音がそういうことをしたってバレたくないから嘘をついて──────」
「だから、そこ!そーくんはあんなので私と子作り行為、えっちした気になってるの?」
「・・・え?」
初音の後ろから結愛が後続として続いてきたが、今はそれを気にしているような空気感では無い。
「あんなの、まだ挿れてもないし、そーくんが挿れかけた段階で勝手に気持ち良くなっただけだよね?」
「・・・え」
それを聞いた結愛も驚くような顔をしている。
・・・いやいや、それは・・・
「そ、それは、そういうことというか・・・も、もう初めてを終えて、肉体関係になってるってことになるんじゃ──────」
「ならないよっ!」
初音は大声で言う。
「あんなのを大事な大事な初めてにカウントするなんて絶対にありえないからね!?しかも!1人だけ気持ち良くなって!別にそれを攻めてるわけじゃ無いけど1人で気持ちよくなってそれを初めてとして思い出に残すのは絶対やめてってこと!ちゃんと私も気持ちよくなってるところを含めて初めてにしたいのっ!わかる?わかるよね?」
「は、はい・・・!わ、わかります!!」
俺は初音の圧にやられ、敬語で応対する。
こ、怖い・・・
「って言うか、なんでそーくんもこの女も勘違いしてるわけ?この前私そーくんが私に挿れようとして失敗したって話したよね?」
「わ、私は、その後で虫がそーちゃんにリベンジって称して挿れ直したのかと思っただけ、それに・・・そーちゃんが明らかに嘘をついてる反応してたから」
「・・・そーくんは?」
「お、俺は、その・・・あ、あれでも一応初めてに含まれるものだと──────」
「ねぇそーくん、初めての重さバカにしてるの?今までそのことに関しては散々話し合ってきたと思ってたけど、そーくんにはもっと話さないと理解してもらえないんだね、いっそのこと数学どころか算数もできなくて良いからその分だけ私の価値観を理解してくれると嬉しいんだけど?」
「え、えっと・・・は、はい、が、がんばります・・・」
`ストッ`
「・・・え?」
そんな俺と初音の会話の直後、いきなり結愛が膝を崩した。
「よかったぁ・・・よかったよ〜〜〜!」
高い声がこの洗面所を包んだ。
「よかったって何?別に私とそーくんが将来的に初めてを遂げることは何も変わらないからね?」
「・・・それでも、まだ、私にも・・・ううん、行動で示すよ」
結愛は何かを言いかけたが、それを行動で示すらしい。
・・・何を行動する気かはわからないけど、嫌な予感しかしないな。
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