第651話結愛の激情
「・・・むし?」
そーくんのお母様はこの女がいきなり虫なんて言うから疑問に思ってる。
・・・本当に何考えてるの?
せっかくさっきまでお互いが交友関係を持てる設定だったのに・・・!
・・・いや、まだ遅くない。
「あ、桃雫さん、どうしたの?夏場だし、もしかしてだけど桃雫さんが苦手な虫でも出たの?」
まだ私のことを虫呼ばわりしたって言うのはバレてない、ここでこの女が合わせて来なかったら本当に今までの演技が台無しになっちゃうけど・・・
「・・・そう、こっち来て」
そう言ってこの女は静かにリビングから出て行った。
「結愛ちゃん虫苦手だったかな〜?昔は明くんのことを虫から守ってあげたりもしてた思うけど〜、ま、小学生の時の話だし、高校生にもなるとやっぱり虫は苦手にもなるよね〜女の子だし」
「そ、そうですねー、じゃ、じゃあ私は桃雫さんに呼ばれたのでちょっと行ってきます」
「うんっ、どうしても無理そうだったら私を呼んでねー」
「ありがとうございます」
私はそう一礼してから、あの女が向かって行った部屋に入る。
・・・そーくんの部屋に。
「ねぇ何考えてるの?そーくんのお母様の前で私を虫呼ばわりしたら今までの演技が意味を成さなく───────」
「そんなことより」
・・・そんなこと?
「あれ、ほんと?」
「・・・あれって何?」
「とぼける気?」
・・・あれ?
事実、私はそれが何かわからないで居た。
この女がこんなに怒ってるってことは多分そーくん絡みなんだろうけど・・・
「私の過去のそーちゃんとの思い出まで破って、今度は未来の思い出まで奪ったってことだよね」
「だからなんの話?もしかして七夕のやつ破ったことまだ怒ってるの?」
「とぼけないで・・・シたんだよね」
「・・・した?何を?」
「・・・作り」
「・・・なんて?」
「子作り!そーちゃんとしたんでしょ!?」
「・・・は?」
・・・子作り?
・・・私が?そーくんと?
何それ、どこの世界線の私?殺したい。
私がそーくんと子作りなんてできてたらどれだけ幸せなのかな。
「は?ってなに?それはこっちのセリフなんだけど」
「だって私そーくんと子作りなんてしてないもん」
「・・・は?」
今度はこの女が疑問の声を漏らす。
「とぼけないでよ、私はそーちゃんから確認を取ってるんだから」
「・・・そーくんから?」
なんでそーくんはそんなことをこの女に・・・?
ううん、それよりもその嘘になんの意味が─────・・・
「・・・まさか」
「・・・なに?」
「そーくん、今どこ?」
「動いてなかったら洗面所──────」
私はその言葉を聞いた瞬間に、すぐに洗面所に移り・・・
「そーくん」
「・・・えっ?は、初音?」
「・・・まさかとは思うけど、あんなのでもう初めてをしたつもりなの?」
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