第650話初音の優位
「ですから!お兄様と結婚するのは私です!!」
「きーちゃんに聞いたらやっぱりそうなっちゃうよね〜」
そーくんと霧響ちゃんのお母様が霧響ちゃんに「霧響ちゃんは初音ちゃんが明くんと結婚してもいいと思う?」なんて言うから一瞬焦ったけど、さっき霧響ちゃんと交わした約束のおかげでなんとか大丈夫みたい。
ー数十分前ー
「お兄様と結婚するのは私です!!」
「霧響ちゃんのお母様はそれを認めてくれるの?」
「・・・い、いつか認めていただきます!」
「そーくんは嫌がるんじゃない?」
「お兄様にも、いつか納得していただきます!!」
「そーくんが納得なんてするかな?現実的じゃないよね?」
「そ、それは──────」
「ねぇ霧響ちゃん、ここからは私の提案なんだけど───────」
「聞きません!白雪さんの提案なんて聞くだけ無駄です!白雪さんとお兄様が別れることが前提の提案なら聞きますが」
・・・流石霧響ちゃん、そーくんなら今頃「て、提案っていうのは?」みたいな感じで流されてくれるんだけど・・・本当にこの2人血繋がってるのかな?
まぁ、前に霧響ちゃんと姉妹喧嘩した時に霧響ちゃんの血とそーくんの血を鑑定してるから血が繋がってるって言うのはわかってるけど。
「残念だけどそんな提案、一生しないよ?それならまだ私が死ぬ前提の提案の方が確率が高いかな、あ、もちろんその時はそーくんも一緒にだけどね?」
「尚更聞く気が失せました」
「本当に良いの?」
「はい」
「そーくんのお写真をあげるって話だよ?」
「・・別にお兄様の写真でしたらいつでも撮れますので」
一瞬の沈黙、ね。
「良いのかなぁ〜?一年前とか、なんならここ最近のそーくんの痛そうなところとか喜んでる顔とか悲しんでる顔とか驚いてるところとか怖がってるところ、恥ずかしがってるところ・・・あとはえっちなところか、そういうのがいっぱいある喜怒哀楽そーくん感情写真集だけど、本当にいらないの?」
「えっ、あの──────」
「要らないなら仕方ないよね〜、そーくんが映ってる写真って言っても、そーくんに興味を持てない愚かな人にはただの紙だもんねー」
まぁ、こんなこと言いながら私はそーくんに興味を持てない愚かな人間がこの世のほとんどっていうのでちょっと助かってるけどね。
そーくんに興味を持てないなんて・・・本当可哀想だけど感謝。
その調子であの女とか淫乱女もそーくんから興味をなくしてくれれば良いのに・・・!
「ちょ、ちょっと待ってください!わ、わかりました、て、提案を聞きます、はぁはぁ・・・」
「うんっ♪」
慌て方はそーくんそっくり・・・やっぱりそこは血筋なのかな?
「で、提案っていうのが、今言ったそーくんの写真集をあげる代わりに霧響ちゃんのお母様に、私のイメージダウンになるようなことを言わないで欲しいの」
「・・・え、それだけですか・・・?」
「うん」
本当はそーくんの写真集なんてあげたくないけど、霧響ちゃんなら・・・そーくんとは兄妹だし、そこのところのモラルはそーくんも信頼できるしね。
で、あとは欲張りすぎないこと、それが大切。
ここでもし大きなことを見返りとして提案してたら霧響ちゃんが逆上してこの話は無かったことになってたかもしれなかったから、提案もこのぐらいに留めておくのが一番。
ー現在ー
そういうことがさっきあったから、今私はあの女よりもちょっと優位に立ててる。
「虫」
「・・・え?」
いきなりこの女が私のことを虫呼ばわりしてきた。
な、何考えてるの?この女・・・目の前にそーくんのお母様も居るのに・・・!
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