第598話物騒な添い寝
「・・・ん?・・・え?な、なんだ?それ」
お風呂にも入り歯も磨き終えていよいよ眠るというところで初音は棺のような寝袋のような形のものを取り出した。
材質的には寝袋と言ったほうが正しいのかもしれない。
「今日からはこの中で寝て?」
「・・・え、べ、ベッドがあるのになんでわざわざ・・・?」
俺が素朴な疑問をぶつけると、初音は困ったような顔で言う。
「だってそうでもしないと、そーくんなんていつ襲われて浮気するかわからないでしょ?」
と、心外なことを言われる。
「そ、そんなことないって、現に今までだって俺はちゃんと自分のことを守り続けてるわけだし、自衛の心には自信がある」
「それは私がそーくんの身の危険に気づいて行動したからで、もし私が今まで行動してなかったら今までそーくん何回浮気してたのかな?」
「うっ・・・」
そう言われてしまうと俺も何も言うことはできない。
確かに今まで、初音が来たことによって助けられたことはかなりあった。
「で、でも今までのことで俺が浮気する気なんてないってことはわかってもらえ─────」
「数時間前に他の女の子と押し倒してたそーくんが何言ってるの>」
「だ、だからあれは誤解なんだって・・・」
「とにかく、そーくん自身にその気がなかったとしても他の頭が抜けてる女たちはそーくんのこと襲おうとするかもしれないでしょ?」
「そんなこと───────・・・」
今までのことを考えるととてもそんなことはないと言い切ることは不可能なため、少し脳がバグってしまう。
「否定できないよね?今まで何回浮気したか数えられないぐらいだもんね?」
「・・・う、浮気はしてないけど・・・ま、まぁ、それを疑われるようなことは・・・し、して、まし、た、と、というか、そ、そういう状況が出来上がっていたというか───────」
「そーくんの言うことならなんでも聞いてあげたいけど、そーくんの浮気の言い訳に付き合う気はないの、だから早くこの中入って?」
そう言うと初音は俺のことをその寝袋のようなものに俺のことを入れると、そのままチャック・・・というか`ガチッ`という音とともにガチャリと閉じられてしまった。
「・・・え」
こ、これほとんど動けないぞ・・・寝返りも打てない。
しかも俺の視界から見える感じ酸素を入れ替えられるところもない・・・
「お、おい!は、初音!こ、こんなところで寝たら酸素とか無くなるんじゃないのか?」
大声で初音に呼び掛ける。
「酸素はロケットの中とかでも9時間ぐらいは持つから睡眠時間とちょうど合ってるから大丈夫だよ」
すると初音は俺のことを持ち上げ、ベッドの上に置き、どうやら初音はそのベッドの上で眠るらしい。
「添い寝だね❤︎そーくん❤︎」
「・・・・・・」
こんな物騒な添い寝なんて絶対に嫌だな・・・
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