第584話拘束と気付き
「・・・ん?」
ここは・・・見た感じさっきとは内装が違うけどホテルの中みたいだ。
・・・そうか、確か初音に注射器を刺されたんだ・・・
「・・・ん!?」
瞬間、俺は自分の身の違和感に気づいた。
「ん、んんん!?」
口は何かを咥えさせられており、両手足も手錠で拘束されてしまっている。
しかも、いつもこういう時はベッドの上で拘束されてありしているが、今はなぜか立たされて・・・というよりこれは、なんていうか・・・
SMプレイ用の拘束具といった方が良いのかもしれない。
そんな感じのやつに今俺は拘束されてしまっていた。
「そーくん」
「んっ?」
初音は爪を剥ぎそうなものを持っている。
「ん?んんん!?」
「何驚いてるの?ただちょっと聞きたいことがあるだけだよ?」
そう言うと初音は俺の爪にその爪剥ぎ機を添えた。
「ん、ん、んん・・・」
「そんなに怯えなくても良いんだよ?ただ正直に答えて欲しいだけだから」
ま、待て待て、って言うか口を塞がれてる状態で何をどう答えれば良いって言うんだ・・・
「あ、喋れるようにしておいてあげないと答えるも何もないよね」
と、どうやら冷静さを失っていたらしい初音でもそこには気づいてくれたらしく、俺の口に挟まれていたものを取ってくれた。
喋れるようになったため、俺は初音に今疑問に思っていることを全てぶつける。
「な、なんでこんなことするんだ!?」
「なんで?そーくんが私以外の女とラブホテルにいてベッドの上で他の女を押し倒してたからでしょ?」
「い、いや、まぁ、そ、そうなんだけど・・・さっきは事情説明する間もなかったけどあれは事故──────」
「じゃあそーくんは絶対にあり得ないけど私が他の男に押し倒されて─────例えでも気持ち悪いけど私が他の男に押し倒されてたらその男のことどう思うの?」
「え、ま、まぁ・・・許せないな」
初音は俺の彼女だ、そんな彼女が他の男性に無理やり押し倒されていたらそれはまぁ許せなくもなる。
「そういうこと」
「・・・え?」
「つまり、私から見たらそーくんは今例えに出した男みたいな感じなの」
「・・・・・・」
「それはそうとね、最近私気づいたことあるの」
そう言うと初音は俺の爪に爪剥ぎ機を添えたまま、包丁を取り出した。
「ひっ・・・」
「そーくんって私が真っ直ぐ愛を伝えた時より包丁とかを添えた時の方が言うこと聞いてくれるよね」
それは死にたくないから多分俺じゃなくてもそうだろう。
「ま、まぁ・・・ど、どうだろうな」
一応ぼかしてみる。
「・・・試してみればわかるよね」
初音は俺の腹部にあと1cmで包丁の先端が当たってしまうところで包丁を寸止めし、言った。
「私と初めてを、今、ここで、して?してくれないなら本当に殺すから」
そう言う初音の目からは試しなんていう猶予は全く感じることができなかった。
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