第581話初音と小姫
「ぁぁ・・・」
私は独学で調合した鎮静剤と睡眠薬を混ぜた薬を注射器でそーくんに注入した。
・・・今回の件であの媚薬が私だけならともかく私以外にも発動するのは本当に考える必要があることがわかったね。
「え、あ、あんた何したの?」
「っ!邪魔!そーくんに触れないでっ!」
私はそーくんが眠って倒れたのを良いことに、そーくんにもたれかかってもらえるという役得ポジションを得ようとしているこの女からそーくんを回収した。
「・・・はぁ」
やっぱりそーくんはちょっと甘くしただけで浮気しちゃうんだね・・・
帰ったら徹底的に監禁したいところだけど、帰ったらあのウイルスとか淫乱女とかがいてそれはそれで邪魔だし・・・
「そうなるとやっぱりホテル住まい──────・・・は?」
私が今後の展望を考えていると、私の目の端にそーくんとこの女が写っている写真が待ち受けになっているスマホが置いてあった。
─────それを見た瞬間、私はそのスマホ目掛けてナイフを投げつけた。
・・・けど。
「ちょっ、何するわけ!?」
この女はそのそーくんの入っているスマホを私の投げたナイフから遠ざけた。
「っ!なんで私のそーくんとのツーショットなんて撮ってるの?消して?」
本当はそーくんが私を愛するために私がそーくんに盛った薬を利用してそーくんに襲われようとしてた女なんかと会話なんてしたくないけど、そーくんとのツーショットで色々妄想されるほうがもっと嫌だから、ここで私はしっかりとその写真を削除させる。
「私が魅力的すぎてその子がどうしてもって言うから仕方ないじゃん」
「そーくんがそんなこと言うわけないでしょ?」
「はぁ・・・そういう思い込みが地雷女の典型─────」
「っ!」
私はまたこの女が何かを言おうと口を開いた瞬間に、一旦そーくんを地面に置いてこの女のスマホを奪おうとしたけど、この女はそれを手で防いだ。
「本当ウザいって、これはもう私の写真なんだから」
「私のそーくんに私の許可なく撮った写真なんだから私に管轄権利があるに決まってるでしょ?」
「管轄権利って・・・彼氏でしょ?」
「俗的に言うと彼氏だけど、正確には彼氏なんて次元を超えてるの」
「結婚まで考えてるってこと?」
「・・・はぁ」
私はこんな女と話していても仕方ないと思い、そーくんを抱えてこの部屋を出ることにした。
「あっ、その子が起きたらいつでも連絡してねって伝えと──────」
「連絡先は消したから」
「・・・そう」
私はこの女に最後にそう言い残して、この部屋から出てこれからどうするかを考えて行動を移すことにした。
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