第582話総明の居ない家
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ、死んじゃうぅぅぅぅぅぅぅぅ」
と、桃雫さんははしたない声を上げていますがそれも仕方のないことです。
朝からお兄様と白雪さんだけがこの家に居ないのですから・・・
「そーちゃん失調症になっちゃうぅぅぅぅぅぅ、それにあの虫とそーちゃんがこんな長い間2人きりなんて考えただけで・・・あぁぁぁぁぁぁ」
「落ち着いてください、お兄様がそうそう簡単に貞操を捨てるとは思えません」
たった1日でお兄様の貞操を奪えるぐらい簡単に奪えるのであれば、私だって小さい時から苦労していません。
そもそも私がお兄様に対して異性的な意味合いで好意を抱いていると気づいていただけたのもゴールデンウィークの実家に帰省なさった時・・・
そんなに時間がかかってようやく好意に気づいてもらえる、ぐらいなのですからたった1日で何かが変わるとは考えられません。
「妹ちゃんの言う通りですよ〜♪先輩は私と初めてをするって約束してるので初めてを私以外に捧げるわけないじゃないですかぁ〜」
あゆさんは独自言語を話していて、理解不能なので無視をします。
「初めてとは・・・?」
天銀さんは私たちの会話に着いていけていないようですが、そこも特に説明はしなくていいと思うので無視をします。
天銀さんはこの中で唯一と言っても良いほど良識をお持ちな方なため、できるだけ交友関係を保つようにしています。
「あの虫・・・!帰ってきたら絶対殺──────」
`ピンポーン`
「っ!」
そのインターホンが鳴った瞬間、桃雫さんは殺意剥き出しの表情で玄関に向かいました。
私たちもそれを追うようにして玄関に向かいます。
そして桃雫さんがドアを開け──────
「この虫!よく平然と帰ってこられ──────」
「はぁ?なんでいきなり虫だなんて言われないといけないわけ?あの子の周りに常識がわかるやつっていないの?それともあの地雷女の類は友を呼ぶでキモい奴しかいないの?」
「「「・・・え?」」」
あゆさん以外の私も含め驚きの声を出しました。
な、なんでお兄様が間違えてレンタルしてしまった言葉遣いの悪い方が・・・?
「そーちゃんの間違いの産物さんが何の用──────」
「わぁ〜!先輩のレンタル彼女さんじゃないですかぁ〜!」
あゆさんはそうわざとらしく能天気な声をあげると、そのレンタル彼女さんに近づきました。
「是非上がっていってくださ〜い!」
あゆさんは身勝手にその方の背中を押して家の中に入れました。
「ちょっと、勝手に何してるの?」
「えぇ〜、別に良いじゃないですかぁ、仲間外れなんて良くないですよ〜」
「・・・やっぱり同棲人数多すぎでしょ、こんなに多くいたらあの地雷女があの子を外に連れ出すのもわか──────」
「えっ!?もしかしてそーちゃんの場所知ってるの!?どこっ!?」
そして私たちはことの経緯を聞くことになりました。
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