第578話小姫さんと話したい
「ど、どこに行ったんだ!?」
この人混みの中だと、やっぱり見分けるのは難しい・・・あっ!
「いたぞ・・・!」
その人は何かを探すような感じで動いているため、なかなか止まってはくれないが、何か用があるのかちょうど俺が探し求めていたコンビニに入って行った。
「よ、よし・・・!」
俺もその人のことを追うようにして、コンビニの中に入った。
すると、その人はお菓子コーナーにいた。
「あの!」
「ん」
その人も俺に気づいたように、お菓子に目を向けていた目をこっちに向けた。
「えっ!?君の方から来てくれるなんて───────」
レンタル彼女・・・おそらく名前は小姫さんは何かを言おうとしたが、俺はそれを遮るように言う。
「一つだけ言いたいことがあるので言わせてもら──────」
いや、別に俺はこの人とはなんの関係も無いんだ、いくら何か思うところがあったとしても敬語で、冷静に対応しよう。
「一つだけ言いたいことがあるので、ちょっと言わせてもらってもいいですか?」
「だからそういう感じうざいって前にも──────」
「言わせてもらいます、いきなり俺にキスしたりとか!女の後ろに隠れてとか言ったことを謝ってくださ──────」
「ウザッ、キモッ、死んで?」
「うっ・・・」
やっぱりその最悪の言葉3連続を見た目だけは良い人にでも言われたら傷ついてしまう・・・
「・・・ねぇ、私と話したいの?」
「話したいっていうか、ただ言いたいことがあるだけ・・・です」
「それを話したいって言うんだよ?16歳の君には難しいかな?」
「っ・・・!」
1歳しか変わらないのに年齢を持ち出してくるなんて・・・
「と、とにかく!俺が言いたいのは──────」
「ここじゃ他の人もいて迷惑になるから、場所変えて話そ?」
「は、は!?べ、別に俺はそんなに長く話すつもりはな──────」
「ジュースいる?買ってあげるよ〜?」
「・・・・・・」
俺は喉は乾いていたため、自分で飲み物を買ってから、確かに長くする気は無いとはいえコンビニに迷惑をかけると思い、この人について行くことにした。
「で、どこでだったら話を聞いてくれるん────くれるんですか?」
「んー、ここかなー」
そう言ってこの人が止まった場所は・・・
「こ、ここってラブホテルじゃないですか!」
「ホテル街で話すならラブホテル以外無いし・・・それに、そんな反応しながら君だってホテル街に来てるじゃん」
「い、いや、俺が言ってるのは、恋人でもなんでも無い人とこういうところに来るのが問題──────」
「うざっ、こっちは別に君と話さなくたって良いんだよ?」
あくまでも俺のために譲歩してるってことか・・・
「せ、せめてラブホテルとかじゃなくて普通のホテルはどう、です、か・・・?」
勢いのままにタメ口になってしまいそうになったため、少しカタコトになってしまった。
「足疲れた、歩きたくなーい」
「なっ・・・さっきまで全然そんな素振りなかっただ────なかったですよね?」
「君と同じ基準で考えて欲しくないなー、私か弱いか弱い女の子だからー」
絶対にそんなことを思ってなさそうな口調で言う。
「・・・じゃ、じゃあちょっと休憩して歩けるだけの体力を──────」
「あ〜、もうこんな時間だ〜、そろそろ本当に暗くなってきて夜なんて危ないからあんまりお外出たくないな〜」
「っ・・・!」
なんなんだこの人は、初音とかがいた時と態度が全然違う・・・あの時はただただ口が悪かったけど、今はなんて言うか・・・それよりも厄介な感じだ・・・
「わ、わかりました、じゃ、じゃあ本当に一瞬だけですからね、本当に!話したいというか言いたいことは少ししかないので」
「うんっ♪」
そしてまたも俺はどうやって部屋を借りればいいのかなんてわからないため、俺は小姫さんに任せることにして、割り当てられた号室に入った。
「で、私に言いたいことって何──────」
「だからさっきも言いましたけど!俺に無理やりキスをしたこととか謝ってください!」
「はぁ?私にキスされたんだからむしろ喜んだら?」
「は、は!?喜べるわけないだろ!!」
し、しまった、つい敬語を忘れ───────
「はいぃぃぃぃぃ、ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃ!」
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