第577話総明の限界

`ドクンドクンドクンドクンドクン`


「・・・っ!?」


 ─────その瞬間、俺に急激な睡魔と疲労が襲った。

 ま、まさかとは思うけど、これは・・・


「どうしたの?そーくん?」


「はぁはぁ・・・」


 さっきまで鼓動が早くなってたりしたのを俺はあの媚薬で興奮してるせいだと思ったけど・・・体力の限界だ。

 そもそも2日間も寝ずに薬を打たれて初めてをする重圧と心境に耐えられるわけがなかっ──────


`トン`


 俺は初音の体の上で気を失ってしまった。


「あれ、そーくん?」


「・・・・・・」


「そ、そーくんが私の胸に顔を埋めてくれるなんて・・・❤︎」


「・・・・・・」


「・・・あー、でもやっぱり体力の限界が来ちゃうんだー、2日ぐらい眠らせず薬で思考判断力を削げば行けると思ったけど・・・まっ♪今回そーくんは気持ち的には本当に私とシてくれそうだったし、初めてもそう遠くないかもね❤︎」


「───────?」


 ・・・なんだ?

 なんていうか・・・肌触りの良い感じがする。

 確か俺は初音とボウリングに行こうとして、雨が降ってきて・・・雨宿りとしてアブホテルに入って・・・?


「あ、あの後は!あの後はどうなったんだ!?」


 俺はすぐに目を開き、周りを見回──────


「えっ!?」


 俺が目を開くと、まず最初に飛び込んできたのは──────見覚えのある胸だった。


「え、ちょ・・・え?」


 隣では初音が俺のことを抱きしめるようにして眠っている、しかもさっき俺が脱がせた状態のまま・・・


「・・・って、お、俺も・・・!?」


 俺も何故かさっきは脱いでいなかったはずだが、上半身だけが脱がされていた。なんか肌触りがいいと思ったらそういうことだったのか・・・

 ・・・こ、これは・・・もう事を致してしまった後なのか・・・?

 ・・・このベッドの上に来てからのことがほとんど思い出せない、本当にどうなったんだ・・・?


「んぁ、そーくぅん・・・」


 初音は気持ちよさそうな顔で寝ている。


「・・・なんか、起こすのも申し訳ないし、とにかくシャワーでも浴び────って、もう雨は止んでるな・・・」


 っていうか今は何時なんだ?外を見る感じもう夜みたいだけど・・・

 俺は部屋に置いてある小さな時計の方を見た。


「もう18時か・・・」


 これはもうボウリングはまた今度だな・・・

 俺はとりあえず服を着て、初音の胸をできるだけ見ないようにしながら、初音の胸の上に持ってきていたまだ使っていないタオルをかけておいた。

 やっぱり胸なんて俺には刺激が強すぎるな・・・


「・・・喉が渇いてきた・・・」


 もう雨も止んでることだし、ちょっと外に出てコンビニでも探してみよう。

 俺は一応初音に`コンビニに行ってきます`のメモ用紙を残して号室の外に出た。

 ・・・そう言えば初音が俺よりも起きるのが遅いのは珍しいな・・・いつもは大概俺より早く起きてたから、なんだか変な感じだな。

 そんなことを思いながら、ラブホテルの外に出───────


「・・・そうだ、ここはホテル街、つまり夜の街だった・・・」


 ここに来た朝の時よりも、なんだか賑わって───────


「えっ!?あの人って・・・!?」


 俺は`その人`を多い人混みの中見つけ、思わず追いかけてしまっていた。

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