第571話逆転の発想
「・・・ね?って・・・」
「わかるよね」
・・・いつの間にこんな断りづらい雰囲気が出来上がってるんだ?
でも俺だって何も考えてないわけじゃない、毎日のようにこんな目に遭ってるんだ、俺だってこういう場合を想定している。
「もちろんしたいことはわかるけど・・・お、俺はまだお風呂に入ってないからお風呂に入ってからでもいいか?」
まずは先延ばしにすることが重要だ。
それで将来的に痛い目を見るのはわかってるけどまずは今だ。
今があって未来があるためまずは今の存命を──────
「そーくんはお風呂に入ってなくても綺麗だから大丈夫❤︎」
「・・・え?」
な、なんだその無茶苦茶理論・・・!
っていうかそういうのも普通は女子に対して使うのであって絶対に男子に対して使うような言葉ではない。
「ま、待て待て!ちょっと汗かいてるかもしれないから──────」
「えっ!?そーくんの汗!?今すぐシよ!もったいないよ!」
「も、もったいない・・・?」
あ、あれ・・・?俺のシミュレーションと違うな・・・
ここで俺のミュレーション通りならとりあえずここでお風呂には入ってもいいってことになるはずなんだけどな・・・
「あ、ちょ、ちょっとまってくれ!体調が悪く──────」
「私がリードしてあげるから大丈夫❤︎」
そう言うと初音は俺のことをいつものごとくベッドに押し倒した。
・・・なんでベッドに押し倒されることをいつものごとくなんて表現をしないといけないんだ!
「ま、待てって初音、ほ、本当に初めてがこんな成り行きみたいな感じでもいいのか?」
「うん」
・・・え。
「いやいや!やっぱり初めては計画的に──────」
「はいはい、すぐに素直にしてあげるからね〜❤︎」
初音は俺のズボンを下ろそうとしてきたので、これを死守──────
「そーくん」
「・・・はい」
俺は名前を呼ばれただけとは思えないほどの圧力を受け、すぐに抵抗することをやめた。
・・・まずい・・・
「あっ❤︎口ではそんなこと言いながらこっちはしっかりヤる気だね❤︎」
「それは薬のせいだ!」
はぁ、やばい、なんか頭もクラクラしてきた。
これは多分単純に眠れてないせいだろうけど、このタイミングでか・・・
「い〜っぱい気持ちよく──────」
まずい・・・スマホもきれていて場所もわからない、つまり助けを呼べないこの状況で一度でもその感じに入ったらもう多分初音は止まらない・・・
なら、ここは俺の羞恥心を少しでも捨てるべきだ。
「そ、そうだ初音!そ、そう言えば、いつも俺がしてもらってるから、たまには俺からしたいんだ」
「・・・そーくんから?」
「そ、そうだ、いつも初音が俺のことを気持ちよくしてくれようとしてるけど、た、たまには俺も男として初音を気持ちよくしたいんだ」
本当はそんなことあんまり思ってないしむしろ性行為なんてまだ早いんじゃないかと思ってるぐらいだけど、今はもうこの手しかない・・・
いつもとは逆転の発想のこの手しか・・・
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