第570話初めての重さ
「・・・・・・」
落ち着かない、やっぱりまだ2度目だけどラブホテルなんかで落ち着けるわけがない。
「上がったよー、そーくん」
「あ、あぁ」
どうやら初音がお風呂から上がったらしく、濡れた髪とバスローブを着てベッドに座った。
「そーくんも入る?」
「い、いや、ちょっと濡れただけだし、別に良い」
俺としてはラブホテルに長居するつもりはないしな。
とりあえずどうにかして最寄りのコンビニとかで傘を買わないとな・・・問題はこんな土地勘も無くスマホも無い状況でコンビニを探し出すか──────
「あっ、何か置いてあるよ?」
「え?」
そう言って初音が見つけたものは・・・
「・・・・・・」
「ゴムだね」
・・・ラブホテルだし、大人なゴムぐらいはあって当然・・・なんだろうな。
「・・・シたい?」
「・・・え、え?いやいや!したくないしたくな─────」
「あっ、でもこのゴム破れちゃってるねー」
あ、危ない危ない・・・ここでしたくないってはっきり言ってしまったらまた初音の機嫌を損ねてしまう・・・
しかも神様が味方してくれてるのか大人なゴムは破れてしまっているらしい。
ならそれを口実に・・・
「そ、そうなのかー、残念だなー、破れてるなら仕方ないなー」
「・・・破れてなかったらしてくれてたの?」
「え、え?」
実際は破れて無くても多分してないだろうけど、ここはそう言うことにしておいた方が色々と都合がいい。
「そ、そうだなー、本当に残念だ」
「じゃあ私破れてないの持ってるから今すぐシよ!」
「・・・え?」
そう言って初音は自分の鞄の中から完全に未使用の大人なゴムを取り出した。
「ちょ、ちょっと待ってくれ初音、きょ、今日は別にそんなことするために来たんじゃないだろ?」
「そうだけど、もう雨降っちゃっていつ止むかわからないし、だったらもうせっかくたまたまでもラブホテルに来ちゃったんだし・・・シちゃっても良くない?」
「そ、そんな軽くすることじゃ──────」
「そーくんが重く捉えすぎなの!」
と、初音は一際大きな声でこのおそらく防音であるラブホテル室内を響かせた。
「もっと軽く考えてもいいものなのっ!高校生で彼女とえっちするなんて普通なんだから!」
「で、でもやっぱり初めてって言うのは大事──────」
「周りを見てよ!あのウイルスだって淫乱女だってそーくんとえっちしようとしてるでしょ?だから高校生でえっちするなんて普通なの!」
「それは結愛たちがおかしいだけ──────」
「多数決するならそーくんの方が異常なの!」
確かに俺の周りだけ見ればそうだけど・・・って、え?もしかして初音たちじゃなくて俺の方が異常者だって言う流れになってるのか・・・?
「いやいや!そんなはずない、少なくとも初めてを大切にっていう俺の考え方は異常じゃないはずだ」
「その気持ちのおかげで騙されやすいそーくんでも初めてを守れてるんだろうけど、それは私に対してだけは要らないものだよ?」
「・・・・・・」
「だから・・・ね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます