第546話初音の冷めた怒り
「・・・あのね?そーくん」
「・・・・・・」
「まず、もう似たようなこと何回も言ってるけど私以外の女に騙されたらダメ」
「・・・・・・」
「次に、そーくんの抜けてるところはそーくんの魅力の一つで私もそれを見ると「可愛いっ!」って微笑ましい気持ちになるけど、限度っていうものがあるよね?それで浮気までしちゃうならダメだよ?」
「・・・・・」
何も言葉が出ないため、俺は沈黙を続ける。
「それにね、そーくんの学習能力の無さもちょっと良くないよ?」
「が、学習能力・・・?」
「そろそろ汚い考えを持った女もいるってことを覚えた方がいいってこと」
「き、汚い考え・・・」
「そう、そーくんは私以外の女の意見は鵜呑みにしたらダメなの」
「は、初音の考えは鵜呑みにしても良いのか・・・?」
「うんっ!」
なんでそこだけ場違いなぐらいに元気満々に言うんだ・・・
「・・・でもねそーくん、それでもやっぱり他の女と裸でお風呂に入ってたって言うのは許されることじゃないの」
「・・・はい」
「だからね?今からそこの淫乱女としてたように一緒に私と正真正銘裸で一緒にお風呂に入ろ?」
「・・・えっ!?」
そそ、そうなるのか・・・!?
「他の女としてたのに私とできない理由でもあるのか?本当なら懲罰ものなんだよ?」
「で、でも俺はちゃんと目を閉じて─────」
「そんなの関係無いよ、説明しなくてもわかるよね?」
「・・・はい」
俺たちが一旦話の区切りをつけると、それを静観していたあゆが言う。
「ちょっと待ってくださいよ〜、今お金で先輩は私の─────」
「は?こんな契約無効に決まってるでしょ?そーくんは騙せても私はこんなんじゃ騙せないから・・・そーくんの純心さに漬け込んで・・・!」
「え〜、純心さとか言われても私さっき先輩に私の大事なお胸無理やり押さえられたり触られたりしたんですけど〜?」
「・・・え?そーくん・・・?」
「い、いや!あ、あれは事故っていうか、事故を防ぐための犠牲というか・・・」
「え〜!女の子の胸触っといて犠牲とか言っちゃうんですかぁ!?酷いです〜!」
と、俺はあゆの方をできるだけ見ないようにしているため表情は見えないがそんなことを言いながらも確実に声が上ずっているのはわかる。
それとは対象に、俺がずっと目を向けている初音の顔は虚無という表現が一番しっくりくる表情になっていた。
「・・・は、初音?」
「・・・そーくんが騙されちゃっただけだと思ったけど、騙されたのを良いことにそんなこともしたんだね・・・私にはそんなことしてくれたこと無いのにね・・・」
「うっ・・・」
「これはもうお風呂ぐらいじゃ済まされないよね」
「・・・はい」
「じゃあそこの裸の女は無視してお風呂入るよ」
「私もご一緒して良い─────」
「無理」
「あはは〜」
こうして俺は最悪の空気のまま、初音と一緒にお風呂に入ることになった。
初音があゆを脱衣所から追い出して着替えを持ってきてこれから着替えるという時に、俺の耳元で囁いた。
「さっきあの女にした以上のこと、してもらうからね」
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