第540話あゆとの契約書

「・・・言ってしまった」


 どうしよう、初音があまりにも怖すぎて積極的にとか言ってしまったけど積極的になんて絶対に無理だ・・・

 自分でも俺が積極的に性的なことをしようとしてるところを想像できないし普通に気持ち悪すぎて吐き気がしてくる・・・


「先輩!」


「ん、どうした?あゆ」


 リビングでさっきのことをずっと考えていると、あゆが話しかけてきた。


「先輩ってお金を稼ぎたいからレンタル彼女なんて借りたいんですよね〜?」


「え?あ、ま、まぁ、間違えて押しただけだけどな・・・」


 バイトのサイト見てたとか言ってないのによくわかったな・・・まあ普通に考えてレンタル彼女なんて俺がこの状況でレンタルするわけがないからその答えに至ってもおかしくはないわけだけど・・・


「ですよね〜、そこで提案があるんですよ〜!」


「て、提案・・・?」


「はいっ!所要時間1時間弱で、1億円ぐらい稼げちゃいます!」


「えっ!?」


 それが本当だとしたら確かにものすごく良い提案だ。


「しかもっ!絶対に詐欺とかじゃないですっ!」


「そ、それでっ!?そ、その仕事の内容は!?」


「その前に・・・この契約書にサインしてください」


「・・・え?」


 そう言ってあゆは何か長文が書かれている紙をテーブルに置いた。


「け、契約書・・・?」


「今言ったことをちょっと難しく書いてるだけなので、何も気にせず書いちゃってくださ〜い!ほらっ、1億円もの大金となるとやっぱりこういうのも必要なんですよ〜」


「そ、そうなのか・・・」


 まぁ確かにそんな大金だとそういうもの必要になるのか・・・でも気になることは他にもある。


「・・・ほ、本当に詐欺じゃないのか?」


「はいっ♪もし先輩がこの契約のせいで財産、権利問題で損害を受けた場合は全て私が負債することになってます!ほら、ここです〜」


 そうあゆが指さしたところには、確かに今あゆが言ったようなことが少し難しく書かれている。


「仕事内容は教えてもらえないのか?」


「1億円ものお金を動かす仕事ですからね〜、情報漏洩する可能性もあるのでまずは契約していただいてからですよ〜」


「・・・じゃ、じゃあ最後にそんな大金の仕事俺にもできるのか・・・?」


「はいっ!むしろ先輩にしかできないですっ!」


 俺にしかできない・・・?本当にどんな仕事なんだ?


「自立したいんですよね?このまま白雪先輩に養われる人生でいいんですかぁ?」


 そんなことを言われると俺のプライドにも火が付く。

 俺はその契約書というものに自分の名前を署名した。


「こ、これでいいのか?」


「はいっ!では・・・」


 あゆは俺が署名した契約書をどこからか取り出したファイルに入れて、俺のことを脱衣所に連れ込んだ。


「え、えっ?こ、ここで仕事するのか?」


「はぁはぁ・・・」


「・・・え?」


 脱衣所に入った途端、あゆの呼吸が荒くなって俺のことを地面に押し倒した。


「痛っ!い、いきなり何を─────」


「先輩!じゃあ今から仕事をしてもらいますっ!」


「え、え?」


「仕事内容は・・・私に体を売ることですっ❤︎」


「・・・は!?」

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