第536話総明はしていなかった?

 ど、どういうことだ・・・?

 俺は今刺される覚悟で説明してたのに・・・それがなんで喜ばれる事になってるんだ?


「そーくぅぅぅぅん!よかったぁぁぁぁぁぁ!!」


「え、ちょっ、い、いきなりどうしたんだ・・・?」


「・・・・・・」


「だから!そーくんはその女とえっちなんてしてないってこと!」


 ・・・え?


「でも、下着姿で─────」


「そんなの女が好きな男を女から奪うためによくやる事でしょ?睡眠薬飲ませて、次に目が覚めた時には隣で裸の女がいて、それで「またしようね」とか言って既成事実作ろうとしてるってやつだよ?」


「え・・・」


「違うよ!そーちゃん!私本当にそーちゃんとえっちしたよ?」


「じゃあ今すぐここで下着脱いで私に破れてるか見せて?」


「破れてる・・・?なんの話─────」


「そーくんには関係無いの」


 俺の話のはずなのに何故か俺は関係無いらしい・・・


「・・・そーちゃんの前でなんて恥ずかしいから嫌」


「は?なにそーくんに見てもらえると思ってるの?そーくんに私以外の女のなんて見せるわけないでしょ?大体、さっきそーくんとえっちしてたのにそんなこと気にするっておかしいよね」


 ・・・なんていうか、本当に蚊帳の外感がすごい。

 2人は本当になんの話をしてるんだ・・・?


「っ・・・」


 結愛がしまったという表情をしている。

 よくわからないけど初音が結愛のことを追い詰めているらしい。

 俺はもうほとんど他人事のような感じでぼーっとその2人のやり取りを眺めていると、結愛がいきなり俺に抱きついてきて喚き散らすように言った。


「そーちゃんは私のなの!なんでそーちゃんもわかってくれないの!?」


「ちょっ、ゆ、結愛、胸が当たって─────」


「胸がいいの!?いいよ!こんなので良かったらいくらでも触って!」


「ち、違う!そういう意味じゃ─────っ、ち、違うからな?初音?」


「・・・・・・」


 初音が音の無い冷めた目で俺のことを見ているため、俺は結愛の対処よりも先に初音の誤解を解くことを優先しよう。


「別に俺は──────」


「そーくん、何か勘違いしてるみたいだから言うけど、別に私は胸で興奮してる事に対して怒ってるわけじゃないよ?」


「えっ、あぁ、そうなのか?っていうか興奮はしてない!」


 ちょっと悪い方向に拡大解釈されてしまっていたため、すぐにそこを修正する。


「私が怒ってるのは、なんで私に言ってくれないのかってこと」


「・・・言ってくれない?」


「うん、私に胸見せてとか触らせてとか言ってくれないでしょ?」


 それははたして言ってくれないという表現が正しいのか・・・?


「ま、まぁ、そんなこと言えるわけもないし・・・」


「でも胸には興奮するんだよね?」


「いや、だから別に俺は興奮なんてしてない」


 現に今も結愛は何かを喚きながら、胸を俺に押し当てて抱きついて来てるけど俺は興奮はしてない。

 ・・・ただ、動揺していないのかと言われれば嘘になる。

 だが、今は初音のことで手一杯でそれどころではないというだけだ。


「そーくん、何度も言ってるけど─────」


`ピコン`


「・・・ん」


 メール・・・?

 初音に初音以外のアドレスを消されたはずなのに・・・誰からだ?


「・・・そーくん、誰?」


「え、いや、わ、わからない、ちょっと見てみる」


 初音は俺から結愛を引き剥がそうとしつつ、俺のスマホ画面を覗き込んだ。

 するとそこに表示されていたのは・・・


小姫さき

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