第523話目移り
「どういうこと?そーくん私以外の女に目移りしたの?」
「め、目移りっていうか・・・その・・・」
「何?さっき私以外の女のこと美人って言ってたよね?」
「いや・・・はい」
俺は言い訳することを諦め、素直に認めることにした。
「彼女がいるのに彼女以外の人のことを彼女の目の前で美人って言うのはどうなの?ねえ、裏で言ってても極刑だけど目の前で言うってことは私に逆らう意思があるってことなのかな?」
「そう、じゃないんだけど・・・」
「じゃあどう言うことなの?」
「その・・・な?」
「なじゃわからないよ」
「・・・・・・」
俺が言葉を失って沈黙してしまっていると、レンタル彼女もとい少女が口を開いた。
「私が綺麗すぎたから見惚れただけでしょ?あんたが私より綺麗じゃないから仕方ないけど」
「・・・そうなの?そーくん」
「ち、違う、そうじゃなくて・・・も、もちろん初音の方が綺麗なんだけど、ちょっと心の隙を突かれたというかなんというかで・・・」
「先輩先輩!私は?私はどうですかっ?!」
あゆが目を輝かせてそう質問してくるが、こんな状況でそんな問いに答えられるわけもないのでスルーする。
「心の隙って何?」
・・・俺はこれ以上言い訳しても仕方ないと思い決意を固め謝ることにした。
「・・・ごめんなさい」
「私以外の女に目移りしたのに謝っただけで許されると思ってるの?」
「だから私が綺麗だっただけでしょ?仕方ないじゃん、女の負け惜しみは見苦しいよ?」
「・・・お金渡すから早く出てってくれる?」
「無理」
「なんで?犯罪行為で訴えるよ?」
・・・過去に初音がしてきたことは水に流れてそうだな。
「犯罪じゃないよ、だって私そこの子彼女だもん」
「・・・は?」
初音は俺のことを虚の目で見つめる。・・・え?
「ま、待て待て!?付き合ってなんてない、本当だ!っていうか何を言ってるんだ!」
「だって今私レンタル彼女なんでしょ?だったら彼女じゃん」
あぁ、そういうことか・・・とはならない!
「だからそれも時効でお金だけ渡すから、早く出て行ってくれる?」
初音は俺から視線を逸らして少女の方を向いて言った。
・・・が、ここでほとんど黙っていたあゆが口を開く。
「別に良いじゃないですかぁ〜ご飯だって人が多い方が美味しいですよ〜?」
「・・・ご飯?」
そう言えば薄らと良い匂いが匂ってきたな・・・この文章だけ見ると確実に変態扱いされるだろうけど、そういう意味じゃなくて。
料理の良い匂いがしてきた。
「は?なんで─────」
「まぁまぁ〜、みんなでご飯食べましょうよ〜♪」
・・・あゆはこの少女にいてもらいたい理由でもあるのか?
・・・よくわからないけど、こうして俺たちはあゆに押し切られる形でリビングに向かった。
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