第524話レンタル彼女は歓迎されてない

「・・・私歓迎されてないの?」


 少女は食卓に座る初音たちの顔からそれを読み取ったのか、疑問を口にした。


「当たり前」


「はい」


「うん」


「大歓迎ですよ〜♪」


「僕は別に大丈夫です」


「・・・・・・」


 国の決議でも決めるのかと言うぐらいに意見が割れてるな・・・


「お兄様がこのような方をレンタルするなんて・・・」


「いや、間違えてだからな?」


「お兄様・・・?兄弟なの?」


 少女は今のやり取りで感じたことをそのまま聞いてくる。

 別に隠す理由もないので俺は兄弟であることを話す。


「そうだ」


「・・・何歳なの?」


「15歳です」


「・・・15?」


 そう言って少女は霧響の全体を見た、主に胸元を。


「視線が不愉快です、女性でもお兄様以外に体をあまり見られたくありません」


「・・・その胸で15・・・?」


 少女は霧響の声が聞こえていないのか、何かをぽつぽつと呟いていてから自分の胸元を見て少しテンションを落としているようだった。

 が、すぐに視線を霧響に戻して言った。


「っていうか何?そのお兄様になら見られてもいいの?」


「はい」


「・・・あんたの妹露出狂なの?」


「露出狂なんていう程度の低い方々と一緒にしないでください」


 露出狂は確かに言い過ぎな気もするけど結婚欲もそれほどじゃないにしろだいぶ危ないことだと思うけどな・・・


「ねぇ、そーちゃんにレンタルされたんだからちゃんと光栄に思ってよ?」


「・・・はぁ?意味わかんないんだけど、っていうかあんた彼女いんのに他の女とも同棲してるだけで驚きなのに他にもこんなにの奴と一緒に住んでんの?本当に気持ち悪いんだけど」


 それには何も言うことができない・・・


「本当にね」


 他のことには好戦的な初音だが、その件に関してだけは少女に同意している。

 ・・・その辺の連携攻撃はやめてほしい。


「っ、はっ、はっ・・・」


 結愛がいきなり唸り出したというよりか呼吸を乱し始めた。


「ど、どうした?結愛」


 まだご飯に手すらつけていないはずなのに・・・どうしたんだ?


「そそそ、そーちゃんに対して気持ち悪いとか・・・そーちゃんの尊さに気づけない女がこの世にいるなんて・・・私にとっては好都合だけどそーちゃんに対して気持ち悪い・・・気持ち悪いなんて・・・」


 ・・・この人の気持ち悪いを一回一回気にしていたら本当にメンタルがもたない、気にしたくないことは気にしないことだ。

 挨拶ぐらいに思っておいた方がメンタルが楽な気がする。


「尊さ・・・?」


「この鬱陶しい虫たちも最悪だけどそーちゃんの価値に気づけない女なんて余計に信じられない」


「・・・あんた洗脳でもしたの?」


「するわけないだろ!」


 言い方はあれだけど正直俺だって結愛が何言ってるか全くわからない。

 俺に尊さなんていう尊いものはない。


「そーちゃんの価値もわからないなら出ていって?」

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