第510話初音は誠意を見せてほしい

「・・・は?」


 うっ・・・いやいや、怯むな、俺。

 本気を出してとうとう言いたいことを言えたんだ、このまま言い切ってしまおう。


「別に何か関係を持ってるわけでもないのに浮気っていうのはちょっとおかしいと思─────」


「おかしいね」


「・・・ん?」


 も、もしかしてわかってくれたのか!?

 や、やった・・・!勇気を出した甲斐があった!これで初音のすぐに浮気を疑うというほぼ唯一の欠点は無くなって、ようやく普通の恋愛を─────


「躾の仕方間違えたのかな?私、なんでこんなに逆らってくるのかな?本当におかしいよね」


「・・・へ?」


 あ、あれ・・・?わかってくれたと思ったけどこれは・・・


「そーくん、そもそもそれは順序がおかしいよ?そーくんが浮気なんてしなかったら私だって細かくそんなこと言わないけど、そーくんがすぐに浮気するからでしょ?」


「う、浮気の定義は─────」


「彼女に隠れてレンタル彼女を勝手にレンタルするのがそーくんにとっては浮気じゃないんだー」


「うっ・・・」


 そこを突かれてしまうと反論できないからやめてあげてほしい。


「そーくんはね?私だけを見てたらいいの」


「・・・・・・」


「まぁ、それはともかくとして少なくともそーくんが今回私に隠れてレンタル彼女に応募してたっていうのは事実だよね」


「・・・はい」


「じゃあ、すること、わかってるよね?」


「・・・・・・」


 俺は初音からの圧に耐えきれず、まだ痛い足をうまく動かして地面に膝をつけて手を目の前の床に置いて頭を床ギリギリまで下げて謝る。


「すいませんでした・・・」


 要するに─────土下座をした。


「・・・は?」


 と、初音はなぜか疑問の声を漏らす。・・・え?


「・・・前にも似たようなことあった時そーくん土下座してたけど、それなんなの?土下座なんかで許されることだと思ってるの?私がしてほしいことは誠意を見せてってことなんだけど」


「え、だ、だから土下座で誠意を─────」


「土下座なんて、誠意でもなんでもないよ?浮気したんだから、心までは浮気してない証明として彼女である私にしかできないことをすべきなんじゃないの?」


「そ、それは・・・つまり・・・?」


「・・・言わせるの?」


「・・・・・・」


 えぇ、いや、それは、まあ・・・今回の件は100対0ぐらいで俺の方が悪いけど、それでもこんな形でなんて・・・

 初音はゆっくりとベッドの方に移動し、いつもなら俺のことをベッドに押し倒したりするが、今回は初音から寝転がっていて「早くシて」と言われている感じがする。

 ・・・俺はここで初めてを遂げるのか・・・?


「・・・・・・」


 い、いやいや、迷う余地なんてないはずだ。

 レンタル彼女なんて普通なら別れられてもおかしくないはずなのに初音はそういうことをするだけで許してくれてると言ってるんだ、むしろ普通よりも寛容的なのかもしれない。

 俺はベッドに近づき、ベッドの上に乗る。


「っ!じゃ、じゃあ、お股開くね・・・❤︎」

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