第506話初音は迎えに来た

「初っ、音・・・?」


 俺は驚きのあまり少し声が詰まってしまう。

 な、なんで初音がここに・・・まさか天銀は書き置きに俺がどこに行くのかまで残したのか?

 ・・・いや、それはないか。

 天銀にも俺がどこに行くかは言ってなかったし・・・って、バカか俺は!

 初音は俺のスマホとか服とかに発信機みたいなやつを常につけてるんだった・・・!


「遅いから迎えに来たよ」


「・・・はい」


 初音の目が完全に生気を失っているというか死んだ女神の目と言うかな感じでとにかく怖い。


「色々と吐いてもらうことはあるけどまずは帰ろうね」


「・・・はい」


「本当に色々吐いてもらうからね」


「・・・はい」


「じゃあ、そーくん、帰るよ」


「お、俺も帰りたいんだけど─────」


「私が首輪で繋いでるから帰らせないの、わかる?」


 そう言って少女は俺のすぐ横から俺の前に出てきて初音と向かい合った。


「私ぐらい可愛いって言ってたけど私の方が100倍可愛いし」


「ねぇ死にたいの?」


「はいはいそうゆうのウザいって、そんなすぐ死ぬとかって言うおはたいていそんなことできない度胸なしが言うって相場は決まって─────」


 瞬間、初音が懐から取り出した取り出したハサミを少女の顔に向けて刺そうとするも、少女は寸でのところで躱した。


「あぶなっ!?ちょっと、今私が躱してあげなかったらあんた犯罪者になってたよ?」


 気にするところそこじゃないだろ・・・


「てゆうか本当に刺しにくるとか本当におかしいんじゃない?」


 そうだ、気にするところはそこだ。


「は?そっちから挑発してきたんでしょ?それより、そろそろそーくんのこと離さないと腕ごと切断するから」


「うわぁ、マジで気持ち悪い通り越してやばーい」


 ・・・っていうか初音相手には何か言われても弱気になったりしないんだな・・・俺なんかより明らかに初音の方が何倍も怖いと思うんだけどな・・・


「それに、この子だってさっき彼女がヤらせてくれないから私のことレンタルしたって言ってたけど?」


「そーくん?」


「え、いや!は!?そんなこと言ってない!なんでいきなり嘘つくん─────」


「そーくん、いつも言ってるよね、私とシたいなら正直に言ってって、なんなら言わなくても良いから勝手に犯してって言ってるよね?」


「・・・え?」


 それを聞いた少女は、明らかにドン引きしたような様子を見せた。


「そんなに私とシたくないの?なんで?胸?胸が小さいから?」


「ち、違う!って言うか俺は初音が胸が小さいだなんて思ってない」


 割とこれは本当のことで結愛とかに比べると小さいだけで俺からすれば十分平均サイズぐらいに見える。


「・・・まぁ、胸の大きさなら私よりも胸小さそうなこんな女選ばないか」


 と、少女には聞こえないぐらい小さい声で呟いた。


「あ、あんたまじでやばいって、やっぱりこんな地雷女とこんな純粋そうな子が付き合ってるなんて可哀そ・・・」


 そういうと少女はリードをくいっと引っ張って俺を自分の方に引っ張って、自分の顔を俺の顔に近づけて────強引に俺の唇に自分の唇を近づけた。

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