第496話初音と霧響の兄妹喧嘩(?)
「っ!白雪さん・・・?」
霧響は振り返って驚いた声を出した。
・・・ま、待て、まずい。
俺はすぐに俺の露わになっている局部を手で隠すも、当然初音は怒る。
「そーくんも、何してるの?もしかして妹の霧響ちゃんとそういうことしてたの?」
「し、してない!さ、されそうにはなってたけどしようとは────」
「白雪さん」
霧響は立ち上がって初音に向き直り言った。
「この際だから言わせていただきますが、私は本当にお兄様と結婚するつもりです」
「・・・・・・」
「なので、お兄様と別れてください」
「無理」
俺なら萎縮して霧響の言いなりになってしまいそうな雰囲気だったが、初音はあっさりと即答した。
「・・・白雪さんはなぜお兄様のことを好きになったのでしょうか、別にお兄様だけが良いという理由が白雪さんにはないのでは?白雪さんの容姿であればきっとすぐにでも誰か他の人が─────」
「ねぇ霧響ちゃん」
初音は俺のことを一度見てからもう一度霧響に視線を戻して言った。
「死にたいなら遠回しにじゃなくて直接言ってくれていいんだよ?」
「死にたい・・・?」
な、なんでそんな話になったんだ・・・?
「私がそーくん以外の男になんて興味無いってわかった上でそんなこと言ってくるってことは殺されたいってことだよね?」
「可能性を提示しただけです」
「その可能性の話をもしそーくんが真に受けて私が浮気してるかもなんていう疑念をそーくんが持ち始めたらどう責任とってくれるの?それに私がそーくん以外の男と一緒になんて気持ち悪い可能性提示しないでよ」
「私は幼い頃からお兄様と一緒にいたのでお兄様以外の男性と婚約するなんていう未来は考えられませんが、白雪さんの場合はお兄様が転校してから付き合っていると考えてもまだ3ヶ月です、そんな3ヶ月でお兄様の何がわかると言うんですか?」
「霧響ちゃん、愛の大きさは時間じゃないよ?それに、私とそーくんが初めて会ったのは1年前だから」
「1年前・・・?まさか・・・」
霧響は俺のことを殺意に満ちた目で見る。
「そう、私とそーくんはそーくんが転校する前にも同じ学校だったの、それで私が都合で転校しちゃって私がどこに転校したのかも知らないそーくんが私の学校に転校してきたの、王子様は必ず迎えに来てくれるんだよ?」
それを聞いた霧響が俺のことを見る目は「なぜ私に教えなかったんですか」と語っている。
「・・・いや、別に言う必要もなかっただろ・・・?」
「・・・なるほど、それはわかりました」
霧響も俺が親の都合で転校していることは当然知っていたのでそこはすんなりと入ってくるだろう。
霧響は俺から初音に視線を戻して言う。
「ですが、やはり私の方がお兄様と付き合うに相応しいと思いま─────」
「霧響ちゃん」
初音がそれほど大きくもないはずなのに頭に響くような声で言った。
「今まではそーくんも妹には手を出さないって言ってたし本当にそれを有言実行してたから多めに見てたけど、そろそろちょっと兄妹喧嘩もしないとね?」
「私は白雪さんと兄弟になんてなっていません」
「うんうん、そうだよねー、霧響ちゃん反抗期だもんねー」
そう言って初音は手を後ろに回して何を取り出したのかと思えばシャーペンだった。
「私も妹の顔に傷をつけるのは抵抗があるからシャーペンでお仕置きしてあげる、シャーペンなら最悪傷がついても治せるしね?」
・・・今考えることじゃ無いだろうけどその優しさを実妹である師匠にも分け与えてあげてほしい。
「お構いなく、私もそろそろハッキリとさせたいと思っていたところです」
霧響も後ろに手を回すと取り出したのはハサミだった。
「じゃあ、ちょっとお姉ちゃんに逆らった罰として兄妹喧嘩、始めよっか」
「いいえ、兄妹ではなくただの喧嘩です」
そう言って2人は互いに持っているものを構えた。って、静観してる場合じゃない。
俺は明らかに冷静さを欠いてる2人に言う。
「ま、待て待て!2人とも落ち着い─────」
「そーくんは黙ってて、あと・・・ず、ずっと裸を見せてくれるのは嬉しいけど妹とはいえ他の女がいるところでそーくんの裸をずっと露わにするのはやめて?私1人の時だったらいくらでも見てあげるから・・・❤︎」
「え、あっ、うあっ!」
俺はすっかり話に夢中になって忘れていた服を着ることにした。
ど、どうなるんだこれは・・・
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