第495話霧響の興奮

「こ、これが・・・お、お兄様の・・・!す、すごいです!想像と寸分違わずそのままです!」


 霧響は今までに無いくらい上機嫌になった。・・・は、恥ずかしい。

 俺はすぐに俺の露わになったそれを両手で隠す。


「なぜ隠すんですか!」


「いや、その・・・恥ずかしい」


「恥ずかしがる必要なんてないですよ!ものすごく私好みですしきっと体の相性も私とものすごくいいですよ!」


「そんなこと聞いてない!」


「ぁぁ、それにしてもよくよく考えたら恥ずかしがってるお兄様もこれはこれでありですね・・・!ですが手は邪魔です」


 そう言って霧響は容赦無く俺の両手を俺のそれから引き剥がす。


「ま、待てって霧響、こ、こんなところ初音に見られたら・・・」


 実際初音に見られる可能性がなかったとしても妹とこんなことをするなんて俺の倫理観に反するけど霧響にそんなことを言っても地雷を踏むことにしかならない。


「見られて何か問題でしょうか?」


「・・・え?いや、初音は彼女だし・・・」


「では私を婚約者にすればなんの問題もないです」


「できるわけないだ───じゃ、じゃなくて、まだ霧響は中学生だし、婚約なんてできないんじゃないか?」


「ご安心ください、結婚であれば年齢規定がありますが婚約であれば何歳でもできます」


 ・・・え、そうなのか?普通に知らなかった。

 今までは年齢的に中学生じゃ霧響がどれだけ何を言っても法律的に婚約なんてできないと思ってたから内心ちょっとホットスポットがあったけど・・・婚約に年齢規定はないのか・・・いや、でも。


「そ、そうなのかー、で、でも、お、俺たちの気持ちはともかく少なくともこの国じゃ兄妹での結婚は認められてないだろ?」


「はい、ですから海外で婚約してからまだ戻ってくればよろしいのです」


「い、いや、海外ってなると英語とか、色々と難しいだろうから婚約はしなくてもいいんじゃないか?も、もちろん俺が婚約したくないとかそういう話じゃないけど貴重な時間をそれに割くのはもったいないし、書面のものなんてなくても気持ちだけでいいだろ?」


 よ、よく言った俺・・・!

 俺にしては本当に饒舌に喋った、これで霧響から俺と婚約するという選択肢が消え、さらに俺が霧響と婚約したくないわけじゃないという今後の霧響の地雷になりそうなところもしっかりと埋められた。

 ・・・今一度、よく言った俺・・・!


「気持ちだけではダメです、それに、言語のことならご心配なさらないでください、基本的な言語は取得しています」


「で、でも俺はそんなの覚えられな────」


「ですからお兄様は何もなさらなくていいと、何度言えばわかっていただけるのでしょうか」


「そ、そうは言ってもな・・・」


 何かしてないと精神的にキツそうだから将来的には仕事とかしたいんだけどな・・・認めてくれそうにない。


「大体、私はお兄様の高校進学すら反対だったんです」


「え、そ、そうなのか?」


「当然じゃないですか!お兄様とお母様が私に隠れて勝手に話を進めてさえいなければ絶対にお兄様の高校進学なんて断固拒否していました!」


「ええ・・・」


 仕事どころか高校に進学することすら拒否するつもりだったのか・・・母さんの霧響に隠れて話そうという判断は正しかったわけだ。


「で、でもやっぱり俺も───っぅぁっ!」


「ここでお兄様の遺伝子を作ってるんですよね、す、素晴らしいです・・・!」


 と、いきなり霧響は俺のそれの下の部分の2つの球体を触った。


「ちょ、き、霧響、い、いい加減にふざけるのもやめ─────」


「ふざけてるように見えるんですか?」


 そのいきなりテンションが変わるの怖い・・・っていうか!


「い、痛い痛い!」


「私は今こんなにも真剣に将来について話しているのにそれをふざけていると片付けられるのであれば心苦しいですがお兄様の美しいこの遺伝子を作っている球体を1つ潰します」


「は、は!?何言ってるんだ!」


 そんなの痛すぎてショック死する。


「最悪私としては1つあれば困りませんし、麻酔でも打てばショック死することはないでしょう」


「い、いや、そんなの関係ないっていうか・・・と、とにかく謝るから、な?い、一回落ち着いてくれ」


「私は落ち着いてます」


「落ち着いてるなら余計にダメだろ!」


「・・・まぁお兄様も謝るとのことですので今回はお兄様の遺伝子だけで手を打ちま─────」


「霧響ちゃん、何してるの?」


 霧響がいて姿は見えないけど、霧響の後ろから声音を低くした初音の声が聞こえてきた。

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