第493話霧響の殺意
「これだけお兄様を愛していると言っているのに例え話だとしても私がお兄様以外の人と結婚するなどと言うとは思いませんでしたし、正直今はお兄様に対して殺意すら湧いています」
「さ、殺意・・・!?」
「お兄様の言ったことと比べれば安い物です、私の気持ちを無碍にされたのですから」
「そ、そんなつもりじゃなかったんだ、悪かったって・・・」
「悪いと思っているのであれば行動で示してください」
「行動って・・・」
「脱いでください」
やっぱりそういうことだよな・・・くっ、もう脱ぐしかないな。
俺は下着だけを残してそれ以外の衣服を全て脱いだ。、
・・・情けない話今の霧響が純粋に怖すぎるためちょっと従順になって機嫌を治してもらおうという俺なりの作戦でもある。
「・・・なぜ下着を残しているのでしょうか、それでは意味がありません」
「か、体の9割を見せてるんだから別にいいだろ・・・?」
「では体の1割のみでいいのでその下着の下の部分だけを見せて触らせて挟ませてできればお兄様の遺伝子を頂きたいです」
「要求が多すぎるだろ!」
「私は要求できる立場ですので」
ま、まずいな・・・このままだと本当に高校生にもなって妹に下半身を晒すなんていう露出狂まがいの行為をさせられてしまう。
例えそれが俺の故意じゃなく妹に願われたことだとしてもそんなことが許されるのか────許されるわけがない!
だからここは初音には効かなかったあの攻撃でいこう。
「霧響、よく聞いてくれ、兄として───じゃなくて、一応目上の人間として霧響に教えとかないといけないことがある」
「・・・なんでしょうか」
「自分がやられたら嫌なことは人にやったらいけないんだ」
「・・・それが?」
「だから、例えば俺が霧響に服を脱いで欲しいとか、絶対に言わないけど子供を作ろうとか言ったら気持ち悪いだろ?だから─────」
「なんですかその夢の世界線!」
と、さっきまで怒っていたはずの霧響の目がキラキラと輝き出した。・・・な、なんでここで目が輝くんだ・・・?
「え、えーっと、霧響・・・?」
「最高じゃないですか!お兄様に服を脱げと命じられ子供を孕めと言われ無理やり子種を植え付けられて───全然気持ち悪くなんてないですよ!最高です!」
「え、あ・・・あぁ」
「・・・その話に引き換え、お兄様、絶対に言わないとはどういうことでしょうか」
「え・・・」
さっきまでの明るい雰囲気とは一転し、またも霧響は怒りを露わにしながら言った。
「先程の絶対に服を脱いでというのと子供を作ってというのを言わないというのはどういうことでしょうか、それはつまり、私と婚約する意思がそもそもないということでしょうか」
「い、いや、そういうわけじゃ─────」
って、待て待て、いつもいつもこうやって逃げてばっかじゃ絶対に後で相殺しないといけなくなることを俺は学んだ。
ここはハッキリと霧響に言うべきだ・・・!
「そうだ、俺は霧響と婚約する気は無─────ぐはっ!」
霧響は俺の喉元をソファーに抑えつけるようにして俺をソファーに押し倒した。
「そうですか、よくわかりました、それでは今から強引にでもお兄様の遺伝子をいただいて私はお兄様の子を─────孕むことにします」
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