第491話霧響の詰問

「はぁ・・・」


 俺は・・・リビングで文字通り倒れていた。

 一度キッチンまで行って水を飲んでリビングに行ったらいきなり緊張が解けたからだ。


「っていうかあれ・・・」


 さっきのはまだ子供を作る過程で必要な行為はしてないけど行為がなかっただけでああいうのを犯されたって言うんじゃないだろうか。

 実際本当に最後の方は涙目になったし、痛みすら感じたし・・・


「お兄様!?」


 洗面所に行っていたらしき霧響がリビングに戻ってきてすぐに俺のところに来た。


「ど、どうしたんですか!?」


「いや・・・」


 女子3人に犯される寸前のところまで行かされたなんて情けないことは言いたくない。


「な、なんにもない・・・」


 俺はなんとか車椅子に乗って、平静を装う。


「・・・お兄様から少し良い匂いがします」


「・・・え?」


「いえ、お兄様が良い匂いなのはいつもなのですが、いつもの良い匂いではなく、性的な意味で良い匂いがします」


「・・・・・・」


「────まさか!」


 霧響は何かに気付いたようにして俺の部屋に入った。すると中では─────


「あともうちょっとでそーくんの子種を貰えたのに・・・!」


「あとちょっとでそーちゃんを気持ちよくしてあげられたのに・・・!」


「あともうちょっとで先輩のもっと情けない顔見れたかもしれないのに〜!」


「・・・・・・」


 三者三様で色々な感情を言葉に出していた。

 ・・・いや、別に謝罪が欲しいとかじゃないけど誰も俺に対して労いの言葉というか・・・ごめんなさい的なことは言ってくれないのか・・・

 霧響はそっとドアを閉め、俺に振り返って言った。


「・・・お兄様、ここで何をされていたんですか?」


「べ、別に何もしてな────」


「女性3人と性的な行為をすることがお兄様にとっては`何もしていない`で片付けられる行為なんですね、どこでそれほど性に対する耐性を付けてきたのか良ければ教えていただけませんか?その返答次第ではお兄様の命運を左右することにはなりますが」


「い、いや!だから別に性的なことなんてしてな────」


「お兄様はもう少しご自分が嘘を付くのが下手だと自覚した方がよろしいと思いますよ?」


「・・・・・・」


 お、俺ってそんなに嘘付くの下手なのか・・・?そ、そんなこと────ある、ような、ない、ような・・・?


「それで、何をされていたんですか?」


「・・・ま、まぁ、ちょっとな」


「ちょっとではわかりません」


「だ、だから、その、まぁ、性行為というかなんというかを・・・していたというかされてたんだ・・・」


「・・・そうですか」


 霧響は俺からその言葉を聞くと、俺のことをソファーに無理やり寝転がらせた。


「でしたら、私もお兄様に同じことをしてもよろしいですよね?」


「いいわけないだろ!?」


「なぜですか?」


「なぜですかって・・・何度も言うけど俺は妹である霧響と────あ」


「・・・また妹だから、ですか」


 し、しまった、理性が若干飛んでるせいもあっていつも頭の片隅にあることを勢いに任せて言ってしまった。


「・・・・・・」

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